現在のペイフォーパフォーマンスでは病院機能はさほど改善しない
- 2007-01-28 - 病院の品質データの開示(Public reporting)と成果に基づく支払い(pay for performance、ペイフォーパフォーマンス)は病院診療の改善を促進することを目的としています。しかし、医療の改善を目的としてインセンティブを提供するこれらの方法が有益なのかどうかは分かっていません。 (27 段落, 1750 文字)
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該当するデータが見つかりませんでした。
臨床試験のように患者のベースラインを揃えることはできないので、患者の多様性に応じてアウトカムを補正する必要がありますね。
一つの方法として、入院時の状態が同一だった患者グループの転帰をベースにして評価するという方法がありそうです。
全く考えが及ばない部分に言及していただき感謝しています。
以下に1/29日のBioTodayアラートの内容を以下に添付します。
━━━━━━━━━━━━ http://www.biotoday.com/
BioTodayアラート 29Jan2007
〜ペイフォーパフォーマンスでは病院機能はさほど改善しない〜
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目次
本文
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編集後記
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■ 本文
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こんばんは、清宮です。
Lindenauer等がNEJM誌に発表した試験の結果から、現在のペイフォーパフォーマンスでは病院機能はさほど改善しないと分かりました。
▽現在のペイフォーパフォーマンスでは病院機能はさほど改善しない
http://www.biotoday.com/view.cfm?n=17674
この結果から、成果主義に基づいて金を与えても全体として病院機能の劇的な改善は見込めないということが分かりました。
たいそう立派な結果が得られたように思いますが、この試験で使用された病院機能評価の意義を考えるに、この試験結果を臨床に適応することは大変困難だと思っています。
本来、病院の機能は“その病院を受診した患者の転帰がどれだけ改善したか?”で評価されるべきです。
であれば、試験で使用する病院機能評価は患者の転帰改善を反映するものでなければなりません。
実際はどうか?残念ながら、Lindenauer等の試験で使用された病院機能評価指標と患者の転帰に密接な関連は認められないことが最近のJAMA誌に発表された試験データで示唆されています。
▽病院機能評価は患者の転帰にあまり関連していない
http://www.biotoday.com/view.cfm?n=16814
試験で使用された病院機能評価と患者の転帰に密接な関連が見出せていない今の状況では、Lindenauer等の試験の成績から何らかの臨床上の意味を汲み取ることはとても困難といわざるを得ないと感じています。
何よりも先に、患者転帰に密接に関わる真の“病院機能評価”を確立する必要があると思います。Lindenauer等の試験は、その真の“病院機能評価”をエンドポイントとして実施しなければならなかったと思うのです。
病院機能評価は患者の転帰にあまり関連していないことを示唆したJAMA報告は以下のように結ばれています。
"...attention should be focused on finding measures of health care quality that are more tightly linked to patient outcomes. Only then will performance measurement live up to expectations for improving health care quality."
"患者転帰により密接に関連する医療品質指標を見つけることに力を注ぐ必要がある。そうして初めて病院機能評価は医療品質の改善を予期する指標となっていく。"
まったくその通りだと思います。(終)
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■ 編集後記
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今回取り上げたペイフォーパフォーマンスの評価試験では、病院機能評価は“患者の転帰改善”という真のエンドポイントのサロゲートエンドポイントという位置づけになると思います。
真のエンドポイントを反映していると考えられてきたサロゲートエンドポイントが、後の研究で実は真のエンドポイントを反映していなかったことが発覚するということが多々あります。
例えば、心筋梗塞後の心室性期外収縮を抑制すると不整脈による死が予防できると考えられ、1980年代には抗不整脈薬が広く使用されていました。
しかし1989年に発表されたCAST(Cardiac Arrhythmia Suppression Trial)試験によって、心筋梗塞後の抗不整脈薬の使用は死を予防するどころか逆に死のリスクを高めることが分かりました。
Preliminary report: effect of encainide and flecainide on mortality in a randomized trial of arrhythmia suppression after myocardial infarction. The Cardiac Arrhythmia Suppression Trial (CAST) Investigators. N Engl J Med. 1989 Aug 10;321(6):406-12.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?db=pubmed&cm
\nd=Retrieve&dopt=AbstractPlus&list_uids=2473403&query_hl=16
\n&itool=pubmed_docsum
すなわちCAST試験の結果から明らかなように、真のエンドポイントを反映していないサロゲートエンドポイントはむしろ有害な場合があります。
したがって、患者転帰という真のエンドポイントを反映した指標で試験をしない限り、ペイフォーパフォーマンスの有用性を確立することはできないし、有害な転帰をもたらす危険性も否定できないわけです。
新しい技術や概念は新しいというだけで魅力的にみえることはありますが、適切なエンドポイントを用いた試験結果がでるまでは使用を控えるべきなのだと思います。(終)
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Chassin MRの2002年の報告(1)では、ニューヨークにおいて冠動脈バイパス手術後の病院・外科医毎の死亡率を公開してから、ニューヨーク全土でその死亡率が低下したことが示されています。
また、データを開示すると、病院機能が低い臨床領域の品質改善活動が促進され(2)、開示した領域の臨床が改善する割合が高い(3)ことも示されています。
(1)Chassin MR. Achieving and sustaining improved quality: lessons from New York State and cardiac surgery. Health Aff (Millwood) 2002;21(4):40-51.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?db=pubmed&cm
\nd=Retrieve&dopt=AbstractPlus&list_uids=12117152&query_hl=5
\n&itool=pubmed_docsum
(2)Hibbard JH, Stockard J, Tusler M. Does publicizing hospital performance stimulate quality improvement efforts? Health Aff (Millwood) 2003;22(2):84-94.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?db=pubmed&cm
\nd=Retrieve&dopt=AbstractPlus&list_uids=12674410&query_hl=2
\n&itool=pubmed_docsum
(3)Hibbard JH, Stockard J, Tusler M. Hospital performance reports: impact on quality, market share, and reputation. Health Aff (Millwood) 2005;24:1150-60.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?db=pubmed&cm
\nd=Retrieve&dopt=AbstractPlus&list_uids=16012155&query_hl=2
\n&itool=pubmed_docsum