4-1BBL/4-1BB共刺激経路は慢性ウイルス感染を抑制する(ダートマス大学 微生物・免疫学部門 布施紳一郎氏より寄稿)
Free!慢性ウイルス感染は現在世界的な社会問題であり、治療やワクチンの開発が急務となっています。しかしながら、慢性ウイルス感染を抑制する免疫メカニズムはよく分かっていません。
4-1BB Ligand/4-1BB共刺激経路は、CD8+ T細胞の機能と記憶細胞への分化に必要であることが知られています。
新たな研究の結果、4-1BBL/4-1BB共刺激経路は慢性ウイルス感染の抑制において重要な働きを果たすことが分かりました。
マウスガンマヘルペスウイルス(Murine gammaherpesvirus-68; MHV-68)はヒト感染を起こすEpstein-Barr ウイルス (EBV) やカポジ肉腫関連ヘルペスウイルス (KSHV) の唯一のマウスモデルとして用いられています。
4-1BBL遺伝子欠損マウスにMHV-68を感染させると、初期感染の抑制には問題が見られませんでしたが、長期的なウイルスの制御に障害が認められました。
感染に対する免疫の異常を調べたところ、ウイルス特異的な記憶CD8+ T細胞の細胞傷害性とウイルス抗原に対する二次反応の機能低下が認められました。
4-1BB経路を刺激して細胞性免疫を活性化する抗4-1BBアゴニスト抗体は癌の免疫治療として注目を集めており、米国で臨床第一相試験が2005年12月に開始されました。
本研究により、慢性ウイルス感染の治療にも抗4-1BBアゴニスト抗体が応用しうると示唆されました。
この研究成果は、2007年4月15日のJ. Immunol誌に発表されました。
布施氏へのコンタクトは以下のメールアドレスをお使いください。
shinichiro.fuse@dartmouth.edu
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皆さんのますますのご活躍をお祈りしています。また成果が得られましたらお知らせください。
今後ともよろしくお願いします。
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今後とも、さらなる科学の発展と社会への貢献のために、海外にいる我々の研究成果を、BioToday様のような影響力のある科学系媒体を通じて、積極的に社会に紹介させてもらえたらと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。