Gamida Cell社の血液癌治療臍帯血製品Omidubicelを米国FDAが承認
 ・ 抜けていた製品名Omisirgeを追記しました。
化学放射線療法とMerck & CoのKeytrudaによる子宮頸癌初治療が生存改善達成
 ・ 誤記を訂正しました(陰性か陰性か→陽性か陰性の)
Novartisの発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)薬Fabhaltaを米国が承認
 ・ 誤解訂正。Fabhalta投与患者”殆ど”がヘモグロビン濃度2 g/dL以上の上昇を達成した旨に修正しました。

WHOのヒドロキシクロロキン試験停止を招いたLancet誌報告が疑問視されている

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2020-05-29 | コメント

マラリア薬ヒドロキシクロロキン使用で新型コロナウイルス感染(COVID-19)患者がより死んで心臓合併症を被るという結果となり、世界保健機関(WHO)やその他による同剤の無作為化試験の停止を招いている先週金曜日のLancet誌掲載観察試験報告が疑問視されています。

Lancet誌の報告は世界中の病院のCOVID-19患者のデータの集計結果であり、米国ボストンのBrigham and Women’s Hospital Center for Advanced Heart Diseaseがその解析を率いました。

そのデータによるとオーストラリアでは4月21日までにCOVID-19患者73人が死亡していますが、Johns Hopkins Universityの集計では4月21日までに死んだ同国のCOVID-19患者数は67人です。

英国の新聞TheGuardianの調べに対してオーストラリアはLancet報告のデータは同国が収集したものではないと言っています。

Lancetはすでにこの矛盾を把握しており、著者に説明を要求していてその回答を待っているところだとGuardianに伝えています。また、試験の筆頭著者Mandeep Mehra氏はデータを提供したSurgisphere社に連絡してデータの矛盾の検証をしてもらっているとGuardianに話しています。

Lancetや著者が回答を待つ一方でSurgisphere社は原因を説明する見解をすでに発表しており、アジアに含めるべき病院をオーストラリアのデータに含めてしまったとことに起因するとしています。

オーストラリアのデータは4病院での死亡数63人と変更される予定ですが、試験の結論に変わりはないと同社の広報担当者は言っています。

オーストラリアのメルボルンの疫学者Allen Cheng氏は、医療データ解析や医学教育に携わるとするSurgisphere社は聞いたことがなく、同氏が勤める病院Alfred Healthの誰もSurgisphereにデータを提供していません。Lancetの報告に携わった病院を公表すべきだとCheng氏は言っています。

それにCheng氏によるとLancet報告の著者はたったの4人で少なすぎます。複数の情報源からデータを集め、数千人もの患者からのデータをまとめて解析するそのような類の報告の著者はたいてい多数います。謝辞にも多数が掲載される筈ですが、今回のLancet報告の謝辞に掲載されている人物は2人だけです。

Lance報告のおかしさはオーストラリアのデータだけではないようで、治療開始前の患者特徴の補正が不十分であることや情報や方法の開示が不足しているなどの種々の問題点が指摘されています。

Mehra氏等は無作為化試験での検証が必要(randomised clinical trials is needed)との一文で報告を結んでいますが皮肉にもその疑問視される結果が無作為化試験の停止を招いてしまっています。

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