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先立つ治療を少なくとも1回経ている骨髄腫へのJ&JのCarvykti使用を欧州も承認
 ・ BMSのBCMA標的CAR-T・Abecmaの欧州での承認について短く追記しました。
デングウイルスやジカウイルスを阻止する細菌をヒトスジシマカの腸から同定
 ・ 関連ニュースを追加しました。

PfizerのCOVID-19ワクチンの重度アレルギー反応はPEGのせいかもしれない

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2020-12-26 | コメント

Pfizer(ファイザー)/BioNTech(ビオンテック)の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)予防ワクチンBNT162で生じた重度のアレルギー様反応・アナフィラキシーはModerna(モデルナ)社のCOVID-19ワクチンmRNA-1273にも含まれる脂質ナノ粒子(LNP)成分・ポリエチレングリコール(PEG)のせいかもしれないと研究者は考え始めています。

PEGは長いこと生理に影響しないと見られてきましたが、どうもそうではなさそうで、2016年の試験によると72%もの人がPEGへの抗体少なくともいくらかは有していました。

なぜそんなに多くがPEGへの抗体を有しているのかといえば身繕い製品や医薬品に接した結果であろうと考えられています。

PEGは歯磨きやシャンプーなどの日用品の増粘剤、溶剤、柔軟剤、保湿剤として使われています。便秘薬としても長く使われ、それにPEG化成分の医薬品も増えています。

PEG化がしばしば施されているナノ粒子薬への補体関与免疫反応を1999年にCirculation誌に報告した免疫学者Janos Szebeni氏は、CARPA(complement activation-related pseudoallergy)というその反応が抗癌剤Doxil(ドキシル)などのPEG化薬が時おり引き起こす重度アナフィラキシー様反応に寄与していると考えています。

BioNTechの役員Katalin Kariko氏は旧知の仲のSzebeni氏とPEGの問題をかつて議論し、投与量や投与法(筋注)を考慮するにPEGの危険性は取るに足らない程度(negligible)ということで意見が一致したと言っています。

ただし最近のナノ成分専門誌ACS Appl. Nano Materに活性や安全性の心配が大きいPEG化に代わるmRNA運搬技術が報告されており、そのリーダーは他でもないBioNTechの研究者です。

また、ModernaもPEGの危険性は早くから認識していたようで、2018年12月6日のSEC提出書類でPEGへの反応の懸念を記しています。

ModernaのワクチンもPfizer/BioNTechのワクチンも暫くの間を置いて2回接種されます。Szebeni氏はBioNTechのKariko氏と同様にCOVID-19ワクチンの価値は危険性を凌ぐと考えていますが、最初の接種で抗PEG抗体が生じてそれが2回目またはPEG化薬へのアレルギー反応を生じ易くはしまいかと心配しています。

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