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AstraZenecaのCOVID-19ワクチンの血栓症はヘパリン起因性血小板減少症に類似

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2021-04-03 | コメント

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のスパイク蛋白質抗原を作るアデノウイルスを下地とするAstraZenecaのワクチンAZD1222接種後に稀に生じる血栓症はヘパリン起因性血小板減少症(HIT)に似通っており、ワクチン起因血栓促進免疫性血小板減少症(vaccine induced prothrombotic immune thrombocytopenia、VIPIT) と呼ぶことが提案されています。

HITは血小板第4因子(PF4)とヘパリンの複合体を認識する血小板活性化抗体によって生じる血栓促進病です。

今回の研究ではAstraZenecaワクチンを接種してから4-16日後に血栓症を呈し始めた9人(女性8人、年齢は22-49歳、中央値36歳)が検討されました。7人は脳静脈血栓(CVT)、1人は肺塞栓、1人は内臓静脈血栓とCVTを呈しました。

4人の血清を調べたところどの人の血清もヘパリンはどうあれPF4があると血小板を強く活性化しました。誰も発症前にヘパリンを使っておらず、AstraZenecaワクチン接種者の血小板活性化抗体は複合体を形成していない独り身のPF4にどうやら結合するようです。

特に脳や腹などの普通じゃない部分の血栓症や血小板減少がワクチン接種からおよそ5-14日後に稀に生じることを医療従事者は知っておく必要があります。

いまのところAstraZenecaワクチンAZD1222でのみ認められているそういう有害事象に凝固因子直撃経口抗凝固薬(DOAC)などのヘパリン以外の抗凝固薬をはまずは使うことを今回の研究者は勧めています。また、脳静脈洞血栓症(CVST)などの死ぬかもしれない血栓症に陥ったワクチン接種患者には高用量免疫グロブリン静注が助けになりそうです。

[4月12日追記]3月28日にResearch Squareに掲載された本報告は4月9日にNEJM誌に出版されました。検討症例数は2人増えて11人となり、9人は女性で、11人の年齢中央値は36歳(22-49歳)でした。ワクチン由来のDNAがPF4反応性抗体を誘発したのかもしれないと著者は考えています。

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