MC160タンパク質は細胞の炎症誘発性分子の製造を抑制し、宿主のケラチノサイトにおける伝染性軟属腫ウイルス(MCV)感染の持続を増強する
Free!サイトカイン・腫瘍壊死因子α(TNF-alpha)は、TNF1型受容体(TNF-RI)に結合し、転写因子・NF-kappaBの活性化を介して炎症を促進させます。
伝染性軟属腫ウイルス(MCV)が感染したケラチノサイトに対するTNF-αの有害な作用を防ぐために、このポックス・ウイルスはTNF-RIシグナル伝達の少なくとも1ステップをブロックするタンパク質を製造すると想定されています。
MC160というタンパク質は、この細胞反応を干渉すると予想されています。というのも、MC160はTNF-RIを介したシグナル伝達を調節する他のタンパク質と相同性を有するからです。
このたび、ヒト胚性腎細胞を用いた実験から、MC160分子は、TNF-αを介したNF-kappaBの活性化を有意に抑制すると分かりました。
さらに研究を進めたところ、免疫システムのI Kappa Kinase (IKK) 複合体のサブユニットを分解することで、NF-kBによって誘発される炎症反応をMC160は停止させるとわかりました。
IKKの正常な働きは、NF-kBを阻害するタンパク質の分解を誘導することです。MC160はIKK複合体の分解を促進して、NF-kBのスイッチをいれるリン酸化を防ぎました。
以上の結果から、MC160タンパク質は細胞の炎症誘発性分子の製造を抑制し、宿主のケラチノサイトにおけるMCV感染の持続を増強すると考えられました。
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