ドーパミン(ドパミン)D3受容体アゴニストはパーキンソン病ラットの黒質線条体経路と運動機能を回復する作用がある
Free!神経伝達物質・ドーパミン(ドパミン)は、発達中の脳または成人脳の細胞周期を調節しており、D3受容体はドパミン系の発達に重要な役割を担っていることが知られています。
薬物でD3受容体を活性化すると、成人ラット脳の黒質の神経新生が惹起されることが分かっています。
2006年7月5日のJournal of Neuroscience誌に、6-hydroxydopamineで誘導したパーキンソン病モデルラットに対するドパミンD3受容体アゴニスト・7-OH-DPAT (7-hydroxy-N,N-di-n-propyl-2-aminotetralin) の作用を調べた成果が報告されています。この実験では、細胞増殖、神経・行動への7-OH-DPATの作用が調べられました。
これまでの研究成果と一致して、7-OH-DPATの投与により黒質ち密部で細胞増殖が誘導され、その多くの細胞が時間依存的にドパミン神経表現型を示すようになりました。
また、時間依存的に黒質ち密部の障害部位のドパミン細胞数が大幅に改善しました。さらに、新たに黒質で生成された細胞から線条体部位への神経投射の回復が確認されました。
そして、ラットの運動機能はおよそ80%改善し、餌をとる能力も有意に改善しました。
プラミペキソール(pramipexole)やロピニロール(ropinirole)といったパーキンソン病薬は7-OH-DPATと同様にD3受容体を刺激します。
今回の研究を実施した研究者等は、プラミペキソールやその他の同種薬の神経新生への作用を調べています。もし動物実験で最も効果的な用量が確認できたら、その用量を用いて臨床試験が実施されるかもしれません。
- Dopamine Drug Leads to New Neurons and Recovery of Function in Rat Model of Parkinson's Disease / National Institute of Neurological Disorders and Stroke
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