匿名の精子提供者がインターネット経由で同定された
Free!15歳の少年が、血統テストとインターネットを用いて、精子を提供した匿名の父親を同定してしまいました。
彼は綿棒で採取した頬粘膜を血統DNAテストサービス会社に送ることで自分の父親を同定しました。
UKでは、2005年4月から、卵子、精子、受精卵のドナーが同定できる情報を、それらの卵子、精子、受精卵から生まれた子供が18歳になったときに彼等に提供可能となっています。
過去15年間で、UKではおよそ25,000人が提供された精子を用いて誕生したと推定され、2002年から2003年には800人に1人の割合でドナー精子による赤ちゃんが誕生しました。またアメリカではドナー精子により9万件の受精が試みられたと推定されています。
今回の15歳の少年は、Y染色体から彼の父親を同定しました。まず彼はFamilyTreeDNA.comというサイトに289ドルを支払って遺伝子の血統テストを依頼しました。
彼の遺伝子上の父親は、少年がDNAサンプルを送付したWEBサイト/・FamilyTreeDNA.comに自分のDNAを提供していません。しかしデータベースに登録されている2人の男性が、少年のY染色体と非常によく似たY染色体を保有していることが発見されました。
この2人の男性は、スペルは違いますが同じ姓でした。2人は顔見知りではありませんでしたが、Y染色体の相同性から少年とその男性2人が同じ父親、祖父、曽祖父を有する確率は50%と推定されました。
精子を提供した男性は匿名でしたが、彼の母親は匿名の精子提供者の誕生日、出生地、大学の学位などを少年に伝えていました。彼はそれらの情報を他のインターネットサービス・Omnitrace.comに送信し、匿名の父親が生まれた土地で彼と同じ日に生まれた全ての人の名前を探し出しました。
その結果、少年が探していた姓と同じ名前の人物は1人しかいませんでした。そして彼はそれから10日以内にその男性に連絡を取りました。
オンライン上で多くの遺伝子情報が入手可能になるにつれて、精子提供した父親を探すのはより簡単になってくるでしょう。FamilyTreeDNA.comでは特定の姓を追跡する2400のプロジェクトが進行中で、45,000件のY染色体情報を保有しています。
ユタ州のSalt Lake CityにあるSorenson Molecular Genealogy Foundationはさらに先を見据えています。彼等は世界中から人を集めており、4世代前まで確実にさかのぼることが出来る50万人のデータベースを作りたいと考えています。この財団は、Y染色体上のマーカー、母系を伝わるミトコンドリアDNA、その他の170の遺伝子マーカーの情報を保有する予定です。
今回のニュースは、遺伝学が今日のように発達する前に匿名で精子を提供した男性をとても不安にさせるかもしれません。飲酒代欲しさに精子を提供したという大学生も多くいたようです。多くの男性は、精子を提供したことを妻や子供に告げていませんし、突然一ダース以上の子供が自分に会いにやってくるなどという状況は想定外のことだったに違いありません。
- Boy tracks his sperm donor father / BBC
- Anonymous sperm donor traced on internet / NewScientist
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