三つ子の騒音百まで
 ・ 参考文献にPERSPECTIVEを追加しました。
大うつ病患者へのNeurocrine社のAMPA受容体増強薬のPh2試験で有意効果あり
 ・ タイトルの誤記を訂正しました(Ph1試験→Ph2試験)。
先立つ治療を少なくとも1回経ている骨髄腫へのJ&JのCarvykti使用を欧州も承認
 ・ BMSのBCMA標的CAR-T・Abecmaの欧州での承認について短く追記しました。

テロリストは郵便で天然痘ウイルスを手に入れる

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2005-11-26 | コメント

テロリストが天然痘ウイルスの遺伝子を手に入れるのは難しいと思うかもしれません。しかし偽のEmalアドレスで“武装”すれば、バイオテロリスト志願者は生物兵器の遺伝子をオンラインで注文し、数週間以内に郵便で生物兵器の部品を入手しうると分かりました。


現在、多くのバイオテック企業が完全長の遺伝子合成受託サービスを提供しています。利用者がどのような目的で遺伝子を使うのか?または誰が使うのか?を聞かずに遺伝子を提供してしまう会社もあります。

通常、顧客はEmailまたはウェブサイト経由で遺伝子配列を申請します。バイオテック会社は依頼された遺伝子配列を合成し、数週間以内に合成DNAを顧客に郵送します。

New Scientistは、Google検索で見つけた16社に、注文を受けたDNA配列がバイオテロに使用される可能性をスクリーニングしているかどうかを尋ねました。16社のうち12社がこの質問に回答しました。この12社のうち、全てのDNA配列をチェックしていると回答したのは僅かに5社のみでした。4社は部分的にチェックしていると回答し、3社は遺伝子配列のスクリーニングは全くしていないと回答しました。

DNA合成の危険は、State University of New Yorkの研究者等が2002年6月11日のScience誌に発表した研究成果によって初めて明るみになりました(2002年7月15日BioToday)。この研究では、インターネット経由で入手したポリオウイルスのDNA配列とネットショップから手に入れたDNA合成のための試薬を用いて感染能力があるポリオウイルスを作成できることが証明されています。

また、先月には、US Centers for Disease Control and Preventionの研究者等によって、State University of New Yorkの研究者等と同様に方法で1918年のスペイン風邪を引き起こしたウイルスが合成できることが示されました。

理屈ではウイルスの遺伝子配列全部を受託合成することは可能ですが、例えば、天然痘を引き起こすウイルス・Variola majorのゲノムは19万塩基配列もあり、これを全部受託合成することは考えにくくなっています。

したがって、ウイルスに毒性を付与している遺伝子配列だけを受託合成依頼し、その遺伝子を他のウイルス遺伝子に組み込むという手順がバイオテロリストの生物兵器作成の現実的な方法と考えられます。または、バイオテロリストはバクテリア毒素の遺伝子だけをオーダーするかもしれません。もっとも合成受託せずとも自然環境から微生物を採取することでバクテリアの毒素を集めることは可能です。

上述したように、本気になれば、バイオテロに使用できるような病原体ウイルスが作れるようです。せめてDNA受託合成ぐらいは“危ないオーダー”かどうかをチェックするべきでしょう。

DNA受託合成の値段はここ5年ほどで暴落しており、1塩基あたり1.5ドル以下でDNA合成を受託している会社もあります。

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