薬剤安全性システムの広範囲なリフォームが必要
Free!数百万人のアメリカ人が、稀だが重篤な薬剤の副作用のリスクにさらされているという内容のレポートをConsumer Reportsが発表しました。
どこにも依存していない消費者マガジン・Consumer Reportsによると、比較的によく使われている12種類の処方薬が、死を含む重篤なリスクに関連があるとのことです。これらのリスクは、FDAが薬剤を承認したときには見つけられなかったか、過小評価されていました。
12種類の薬剤は、140種類のブランドまたはジェネリックバージョンとして販売されており、2005年9月末までの12ヶ月間でこれらの薬剤はアメリカで2億6600万回処方され、250億ドルの売り上げをあげていました。
これらの12種類の薬剤は特に毒性が強いわけではありません。癌や重症のリウマチの治療薬など、12種類の薬剤よりももっと毒性の強い薬剤は存在します。そしてこれら12種類の薬剤には正当な医学的な使用法があります。特に、他の薬剤が効かなかった場合には有用です。
しかしながら、12種類の薬剤では心臓発作、脳卒中、腎不全、不可逆性骨損失、癌等の副作用が起きる、または起きる可能性があり、これらの既知あるいは起きる可能性のある副作用はFDAの承認時には看過または過小評価されていました。これらの副作用の一部は、依然としてブラックボックスワーニングに含まれていません。Consumer Reportsの主任医学アドバイサーは、それらをブラックボックスワーニングに含めるべきと考えています。
たとえ完全な薬剤安全性システムであったとしても薬剤の有害作用の幾つかを見逃すことがあるでしょう。しかし、Consumer Reportsは、アメリカの薬剤承認プロセスと承認後の薬剤モニタリングシステムには重大な欠陥が存在すると指摘しています。実際に、Consumer Reportsの調査によると、12種類の薬剤リストは危険な薬剤を全て網羅しているとはいえません。
Consumer Reportsは、薬剤安全性システムの問題の起源はFDAにあると主張しています。FDAはタイトな締め切りの下で薬剤を審査しており、このストレスが薬剤の承認審査の質を落としていると言っています。
また、承認後にも安全性をコントロールする適切なシステムが存在しません。具体的には、FDAは承認後に必要となる臨床試験を速やかに製薬企業に実行させる力がありません。あるいは、ドクターから安全性情報を積極的に吸い上げるシステムがありません。さらに、FDAは新たな警告を薬剤に追加するように命令する力がありません。
FDAの力不足に加えて、予期しないリスクが認められた試験結果や有効性がいまいちだった臨床試験データ、すなわち薬剤の使用範囲を狭めるような試験データを公表しない製薬会社が存在します。
また、FDAが製薬会社に発行したレターを解析した結果、製薬会社は広範囲に及ぶ誤った薬剤の販促をしていることが示唆されました。その誤解を招くプロモーションの勢いは2005年9月まで衰えていません。これらの広告は、リスクが完全に解明される前に、新たな薬剤の需要を拡大させています。
以上より、薬剤安全性システムのリフォームが必要とConsumer Reportsは主張しています。最近のFDAには改善の徴候が認められるものの、薬剤承認プロセス、承認後の薬剤安全性モニタリング、薬剤の広告規制における広範囲なリフォームが必要とConsumer Reportsは訴えています。
- Holes in U.S. Drug Safety Net / WebMD
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