Renovis社 脳卒中を対象にしたNXY-059の第3相試験でプライマリーエンドポイントを達成できず
Free!2006年10月26日、Renovis社は、脳卒中患者を対象にしたNXY-059のピボタル第3相試験 (SAINT II) の結果を発表しました。残念ながら、プライマリーエンドポイントもセカンダリーエンドポイントも達成できませんでした。
この第3相試験は、NXY-059の独占ライセンス先であるAstraZeneca社が実施しました。
プライマリーエンドポイントは、modified Rankin Scale(mRS)で評価される脳卒中に関連した身体障害の改善でしたが、プラセボとNXY-059で有意差はつきませんでした(p=0.33)。
また、神経機能に関する評価・National Institute of Health Stroke Scale(NIHSS)(セカンダリーエンドポイント)でも有意な改善を確認できませんでした(p=0.70)。
この結果を受けて、AstraZeneca社はNXY-059の開発を中止すると発表しています。
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血液脳関門については全く知りませんでした。勉強になります。
Medlineで透過性について調べてみたところ、透過しないという報告は見つからなかったのですが、虚血状態が長引くとNXY-059は血液脳関門を透過しやすくなるというIn vitroでの報告がありました。
Brain Res. 2002 Nov 15;955(1-2):229-35.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?db=pubmed&cm
\nd=Retrieve&dopt=AbstractPlus&list_uids=12419541&query_hl=1
\n4&itool=pubmed_docsum
血液脳関門の透過性に、この薬物の開発がうまくいかなかった原因の一端があるのかもしれないですね。
ちょっと古いのですが、去年8月の神経工学投資ニュースレター 2005年8月15日号でRenovis社が特集されています。
http://neurotech.biotoday.com/#stroke
このニュースレターでも解説しているのですが、NXY-059の特許権を主張していたPeter H. Proctor博士は今頃相当悔しがっているでしょう。
NXY-059の開発はいろいろなエピソードがあって興味深いです。