三つ子の騒音百まで
 ・ 参考文献にPERSPECTIVEを追加しました。
大うつ病患者へのNeurocrine社のAMPA受容体増強薬のPh2試験で有意効果あり
 ・ タイトルの誤記を訂正しました(Ph1試験→Ph2試験)。
先立つ治療を少なくとも1回経ている骨髄腫へのJ&JのCarvykti使用を欧州も承認
 ・ BMSのBCMA標的CAR-T・Abecmaの欧州での承認について短く追記しました。

PIG-Aの変異率を調べることで癌へのなりやすさを事前に予測し、予防法対策を講じることが可能になる

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2005-09-17 | コメント

遺伝子変異率は、癌へのなりやすさを決める指標の一つです。


X染色体上にあるPIG-A遺伝子が不活性化するとグリコシルホスファチジルイノシトール(glycosylphosphatidylinositol)にリンクした膜タンパク質が欠損します。フローサイトメトリーにより、この膜タンパク質に対する抗体をレーザーで発光させると、膜タンパク質が存在しないためPIG-Aに遺伝子変異を有する細胞は発光しません。このようにして、PIG-Aの遺伝子変異率を測定することができます。

Memorial Sloan-Kettering Cancer Centerの研究者等は、この方法を用いて癌の遺伝子素養がない人と癌に著しくなりやすい人でPIG-Aの遺伝子変異率を調べてみました。

この結果、癌の遺伝子素養がない人では、1回の細胞分裂でPIG-Aに遺伝子変異が起きる割合はおよそ300万分の1から24万分の1の範囲でした。一方DNA修復機能の障害を伴い、癌を発現するリスクが高いファンコーニ貧血と毛細血管拡張性運動失調症では、1回の分裂でPIG-Aに遺伝子変異が起きる割合は10万分の1から2万分の1でした。

ファンコーニ貧血の細胞では、正常な細胞に比べてPIG-Aの変異率が30倍高くなっていました。また、毛細血管拡張性運動失調症では正常細胞に比べてPIG-Aの変異率がおよそ4倍高くなっていました。

この結果から、癌になりやすい疾患ではPIG-Aの変異率は上昇すると考えられました。すなわち、PIG-Aの変異率を調べることで癌へのなりやすさを事前に予測し、予防法対策を講じることが可能になると考えられました。

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