NICEによるアルツハイマー病治療薬の使用制限を英国の裁判所が支持した
- 2007-08-11 - 2007年8月10日、薬剤の費用対効果を監視している英国国立医療技術評価機構(NICE)はNational Health Service (NHS) の下での軽度アルツハイマー病患者へのアルツハイマー病治療薬の使用を拒否しうるとの判断を英国高等裁判所が下しました。 (6 段落, 591 文字)
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NICE vindicated in UK's High Court
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS01406
\n73607612719/fulltext
このニュースではエーザイとファイザーのニュースリリースのピンボケ度を以下のように評し、
“Rarely has a claim been so outrageously inaccurate and misleading”
以下のような文章でNICEが重要な部分で勝利を収めたことを伝えています。
“The judgment from the Royal Courts of Justice was, in truth, an important victory for NICE”
英国雑誌のランセットでもこのニュースを取りあげていてNICEの勝利を伝えていました。
ファイザーとアルツファイマー協会の後押しもあってエーザイがピンぼけなニュースを流したのかとも思われました。
訂正するくらいの勇気がエーザイにあって欲しいという気持ちも出ました。
また、ランセットの記事ではNICEの公共性にも言及していましたので、公共性の維持・保持も大変なことだという認識も持ちました。
以上
Campaigners and drug makers failed last week in their High Court bid to overturn guidance recommending only limited coverage on the NHS of drugs to treat Alzheimer's disease.
http://www.bmj.com/cgi/content/short/335/7615/319
何度読んでもエーザイのニュースリリースは超ピンボケです。
BioTodayを知らない人達はそれらの内容から事実を判断してしまうわけですから、誤った認識になってしまいます。
現在のメディアの仕組みからして、ある程度仕方ないことではありますが、メディアのあり方として何らかの警鐘を鳴らすことはできないものでしょうか?
同社が本来目指していた軽度アルツハイマー症でのNICE不承認は撤回させることができなかったという点の方が患者・株主等ステークホルダーにとって重大事実であるということを敢えて目立たないようにしているとの恣意性さえ感じます。BioTodayの鋭さに脱帽!(ちなみにNICEやタイムズ紙のサイトは当然ながら公平な内容でした:nice.org.uk/download.aspx?o=447774、timesonline.co.uk/tol/news/uk/health/article2234481.ece)
マスコミも事実の本質を報道すべきと思います。
この手の薬は対症療法であり、アルツハイマー病の進行を抑制することは出来ないので、医療経済的には使用制限するのは当然と考えます。
日本を代表する製薬メーカーの一つでなくとも、ニュースリリースには責任を持つのは当然でしょう。
いずれにしろ、薬価制度に保護されている製薬企業であれば、英国での控訴だけでなく、裁定の事実「使用制限」を日本の患者さんと社会の利益のために活用する方法も考えて貰いたいものです。
報道の自由はよく聞きますが、その内容についても自由なのか、とちょっと考え込んでしまいました。ちなみに、エーザイのHPの英語版のNews Releaseには、今日現在(14日)、日本語HPのニュースリリースに掲載されている8月10日と8月11日の記事の英語バージョンは掲載されていません。
いずれにしろ、日本を代表する製薬メーカーの一つであるエーザイですから、HP掲載のニュースリリースの内容と、なぜそのような内容にしなければならなかったのかという事について、あれこれ詮索するのは失礼にあたると思います。
ところで、裁判所の判決の中で、認知症の評価方法に関する記載の中に「英語が母国語ではない人たちに対する評価」というようなことが書かれていたと思います。私にとって、それは、とても印象的でした。