三つ子の騒音百まで
 ・ 参考文献にPERSPECTIVEを追加しました。
大うつ病患者へのNeurocrine社のAMPA受容体増強薬のPh2試験で有意効果あり
 ・ タイトルの誤記を訂正しました(Ph1試験→Ph2試験)。
先立つ治療を少なくとも1回経ている骨髄腫へのJ&JのCarvykti使用を欧州も承認
 ・ BMSのBCMA標的CAR-T・Abecmaの欧州での承認について短く追記しました。

Bayer社 Trasylolのレトロスペクティブ試験の結果をFDA諮問委員会の後に“蔵出し”

Free!
2006-10-03 | コメント

2006年9月29日、Bayer社は、冠動脈バイパス・グラフト手術を受ける患者に対するTrasylol(アプロチニン、aprotinin)、アミノカプロン酸(aminocaproic acid)、トラネキサム酸(tranexamic acid)の作用に関するレトロスペクティブ試験成績を“誤って”FDAに報告することを怠ったと発表しました。

これまでに、Trasylol使用は死亡、重度の陣障害、うっ血性心不全、脳卒中の危険を上昇させうることが67,000人の病院カルテのレビューの結果から示唆されたとFDAは発表していました。

失血を減らすと信じて医師はバイパス手術時にTrasylolを使っています。

試験の方法論に疑問があり、得られた知見は予備的なものであったのでレトロスペクティブ試験の結果をFDAとすぐにシェアしなかったとBayer社は説明しています。

今回のプレスリリースでBayer社は、9月21日の諮問委員会の前にこのレトロスペクティブ試験の結果をFDAとシェアすべきであったと言っており、シェアしなかったことは“間違いであった”と認めています。

このFDA諮問委員会では、バイパス手術を受ける特定の患者の失血を防ぐ上でTrasylolの安全性と有効性は受諾できると判断されています。

FDAは、諮問委員会が開催された時点でBayer社の新しい試験データの存在に気付いていませんでした。Bayer社は、9月27日にFDAにその結果を通知しました。すなわちFDA諮問委員会の6日後です。

Bayer社が実施したレトロスペクティブ試験では、Trasylolで治療された患者3万人とその他の製品で治療された37,000人のデータが比較されています。この新しい試験でもTrasylol使用者において死亡、腎不全、うっ血性心不全、脳卒中のリスクが上昇することが示唆されています。

今後FDAはBayer社から提出された新しいデータを評価していく予定です。

この記事のカテゴリ
この記事に対するコメントをお寄せ下さい

[この記事に対してコメントするには会員登録が必要です]

下記のフォームより、有料会員または無料メール会員のいずれかに登録してください。

[会員登録がお済みの方はログインしてください]

コメント一覧

この記事についてのコメントは、まだ投稿されていません。

会員様ログイン
メール会員(無料)募集中

メール会員登録(無料)をされますと、BioTodayに登録された記事を毎日メールでお知らせします。また、メール会員登録されますと、毎週月曜からの一週間あたり2つの記事の全文閲覧が可能になります。

メール配信を希望される方は、以下の欄にメールアドレスを入力下さい。

◇メール会員登録までの流れ

  1. メールアドレスを入力
  2. 入力したメールアドレスに自動生成されたパスワードが届けられる

後は、自動生成されたパスワードと登録したメールアドレスでログインすると毎週月曜からの一週間あたり2つの記事の全文閲覧が可能になります。

質問検索
BioToday 非会員の方へ

質問を投稿して頂くには、メール会員登録が必要です。

会員登録がお済みの方へ

質問を投稿して頂くには、ログインが必要です。
下記のリンクからログインしてください。

My Book

バイオを応用して開発中の新薬を紹介した本です。2001年10月に出版したものです。Amgen社のEPOGEN誕生の経緯やグリベック誕生までの道のりなど、現在販売されているバイオ医薬品の歴史について知りたい方には役に立つのではないかと思います。