すこし長く話しを聞くことで、ICUで死に行く患者の家族の精神的負担を軽減できる
- 2007-02-01 - 死に行く終末期患者の家族と通常よりもほんの10分ほど長く会話をすることで、集中治療室(ICU)で死亡した患者の家族の精神的負担を軽減できると分かりました。 (12 段落, 659 文字)
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この文献から、エディトリアルのタイトルにもなっている「聴いてあげることの治癒効果(Healing Power of Listening)」が明らかになったわけですが、つきつめると「あなたを気にかけています」という全てのサービス提供者に求められる姿勢が患者家族の心を落ち着かせたのだと思います。
skyteamさんのコメントにある「ご家族が希望する時間に医師の時間をつくれるように」家族に先回りして尋ねることは、“気にかけている”ことを表現する上でとても有益だと思います。
特に制度にこだわることはないと思いますが、家族がして欲しいと思うことを先回りして提案することで家族の心は安らぐのだと思います。そうしたちょっとした気遣いでより大きな効果が期待できると思います。
これを解消するためにも、やはり患者さんのご家族(それも一番熱心な方)が希望する時間に医師の時間をつくれるように制度を作るだけでどれだけ救われるか‥まぁ、それを臨床現場の忙しさが困難にさせたりしますが。とても貴重な観点だと思いました。
例えばこの提案によると、死亡率が2%の外科ICUの常勤臨床家は、患者と家族のサポートに毎週2時間を費やせばよいことになります。
一方死亡率が20%の内科ICUでは、上記と同じ臨床家は家族のサポートに毎日2時間費やす必要があります(2)。
この提案を効果的に使用すれば、死亡率を上昇させることなく死亡前に患者がICUで過ごす日数を減らしたり(2)、家族と過ごす時間を抑制したりすることでコストを大幅に節約可能と考えられます。
このようなリソース配分の考え方も必要ですが、その前に、ICUで働く臨床スタッフににとって何をおいても最も重要なことは患者の家族がどんな気持ちで過ごしているかを理解する感性を育むことでしょう。
この重要性がこの文献のエディトリアル(1)の結論に以下のようにまとめられています。
“All providers of critical care should receive training that will allow them to offer the kind of support that they would want if they had a family member who was facing death in an ICU.”
“クリティカルケア(重症患者の診療)の提供者は、自分たちの家族がICUにおいて死に直面したときにして欲しいと思うようなサポートを実際の臨床の場で提供できるようになるためのトレーニングを受けるべきである”
(1)The Healing Power of Listening in the ICU. NEJM. Volume 356:513-515 February 1, 2007 Number 5
http://content.nejm.org/cgi/content/full/356/5/513
(2)An intensive communication intervention for the critically ill. Am J Med. 2000 Oct 15;109(6):469-75.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=retrieve
\n&db=pubmed&list_uids=11042236&dopt=Abstract