三つ子の騒音百まで
 ・ 参考文献にPERSPECTIVEを追加しました。
大うつ病患者へのNeurocrine社のAMPA受容体増強薬のPh2試験で有意効果あり
 ・ タイトルの誤記を訂正しました(Ph1試験→Ph2試験)。
先立つ治療を少なくとも1回経ている骨髄腫へのJ&JのCarvykti使用を欧州も承認
 ・ BMSのBCMA標的CAR-T・Abecmaの欧州での承認について短く追記しました。

【取材記録】バイオビジネスステーション取材記

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2007-03-09 | コメント

バイオビジネスの人材育成とビジネスの発展を援助する試みとして大阪で開催されているバイオビジネススクールが今年で5期目を迎えています。

このスクールは、バイオビジネススクールを初めとしてバイオベンチャーをバックアップする様々な活動を実施している大阪商工会議所のバイオビジネスステーションが平成15年から毎年開催しています。

製品開発までに長い年月と費用を必要とするバイオベンチャーは、バイオビジネスステーションのようなサポート団体からの援助を積極的に取り入れて効率よく会社を運営していく必要があります。

今回、バイオビジネススクールの実施状況を含む大阪商工会議所の活動内容についてバイオビジネスステーションの槇山愛湖様からお話を窺いました。

◇バイオビジネスステーションの活動状況について

バイオビジネスステーションは、バイオ産業振興に必要なバイオベンチャーの創出・育成を目指して平成14年に設立されました。

その活動は、人材・事業計画作成・アカデミアと産業界の橋渡し・設立資金の調達まで多岐にわたります。

多岐にわたる活動の中でも、バイオビジネススクールは設立翌年の平成15年から始まり、既に130名近い卒業生を輩出しています。

▽バイオビジネススクール
 http://www.bbstation.net/school5.html

このスクールは、バイオビジネスと経営の基礎知識を習得することを目標として実施されています。

第5期に当たる今年は23名が参加しており、5ヶ月間かけて以下の3分野を学んでいます。

・バイオビジネスの基礎:バイオビジネスに特有の事項を広く網羅し、産業の特徴と課題を学ぶ。

・経営学の基礎:経営を考える上で不可欠の論理的思考の基礎を学ぶ。

・バイオベンチャーマネジメント:バイオベンチャーのケーススタディや実際のビジネスプランの作成をする。

バイオベンチャーに実際に勤めている方、製薬企業の方、弁護士、ベンチャーキャピタリストまで、様々なバックグランドの人がこのスクールに参加しています。

このスクールの特色のひとつは、講義内容が充実していることはもちろんのこと、人材交流に重きを置いていることです。卒業後は同期生のOB会が3ケ月に1度開催されますし、第1期生から第4期生と第5期生の交流会も開催されます。

バイオベンチャーの経営に関する実践的な知識が習得できると同時に、日本のバイオ産業のこれからを担う仲間とのネットワークができることは、このスクールに参加して得られるかけがえのない財産だと思います。

さて、バイオビジネススクールを通じて人材育成という土台を固める一方で、大阪商工会議所は産業界とアカデミアの橋渡しをする実務的な活動も行っていいます。

そんな活動の1つが「次世代医療システム産業化フォーラム」です。

▽次世代医療システム産業化フォーラム
 http://www.osaka.cci.or.jp/Jigyou/med-device/index.html

このフォーラムでは、医療関係者・研究者が現場のニーズまたは開発シーズを企業に提示し、共同開発を提案します。企業はこの提案を吟味して共同開発の是非を判断します。つまり、アカデミアと医療機器メーカーのマッチングの場を提供しています。

このマッチングフォーラムは毎月大阪で開催されています。フォーラムは、最新情報を提供するセッションと共同開発提案セッションの2部にわかれており、2部で提案された共同開発が提携企業に配布され、企業はその提案を吟味して共同開発が可能かどうかを判断します。

このマッチングは今年で4年目を迎えており、これまでに100の共同開発グループが誕生しました。そのうち25件は実際に商品を開発中であり、既に4つの案件が製品化を達成しています。非常に活発にマッチングが実施されていることが窺えます。

また、このフォーラムの特色のひとつは大阪に地域を限定していないことです。日本のどこからでもこのフォーラムに参加することができます。槇山様のお話では、北海道や九州から大阪まで足を運ばれる方もいらっしゃるようです。第一部で最新情報が提供されますので、それを聞くだけでも価値があるフォーラムといえそうです。

次世代医療システム産業化フォーラムで商品化をサポートするだけでなく、商品化の土台ともいうべき知的財産の積極的な活用を推進する活動も大阪商工会議所は手がけています。その1つが昨年10月から始まった「創薬特許マーケット」です。

▽創薬特許マーケット
 http://www.drugtech-patent.jp/

創薬特許マーケットは、その名の通り、創薬に関する特許を売りたい人と買いたい人をWEB上で橋渡しします。

まだ始まったばかりですが、バイオビジネスコンペの案件を登録したり、グローバルバイオベンチャーフォーラム等で積極的にこのプログラムをPRし、海外の大学・研究機関・ベンチャーからの案件を登録していく予定です。

今後が楽しみな企画となっています。


◇まとめ

以上、数ある大阪商工会議所の活動の中から、人材の育成、商品化サポート、知的財産の流通をサポートするプログラムを紹介しました。

この他にも、バイオビジネスの登竜門とも位置づけられるバイオビジネスコンペ、バイオビジネスの次期リーダー養成プログラムMOTI等、大阪商工会議所は様々なプログラムをサポートしています。

▽バイオビジネスコンペ
 http://www.biocompe.jp/

▽MOTI
 http://www.athuman.com/moti/

バイオベンチャーの勃興期が終わり、これからはその真価が本格的に問われることになります。

大阪商工会議所がサポートする多岐にわたるプログラムが積極的に活用され、バイオビジネスに携わるヒト、会社、技術、製品がその真価を発揮して日本のバイオ産業が隆盛することを期待してやみません。(終)

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