大塚製薬が有望な結核治療薬を開発中
Free!世界の人口の少なくとも1/3が結核菌に感染していると推定されています。
大塚製薬が結核治療薬として開発しているOPC-67683の研究成果が2006年11月28日のPLoS Medicine誌に発表されています。
OPC-67683は、結核菌の細胞壁の必須成分であるミコール酸の生合成阻害剤です。
実験の結果、標準的な結核治療に使用される4つの抗生物質よりも低用量でOPC-67683は抗生物質感受性の結核菌(M. tuberculosis)や多剤耐性(MDR)の結核菌の増殖を抑制すると分かりました。
OPC-67683はヒト細胞内の結核菌を殺傷する作用がありました。その効果は、既存の抗生物質と同等またはそれ以上でした。
マウスの実験で、標準的な薬剤よりも低濃度でOPC-67683は肺の結核菌数を低下させる作用も確認されています。
また、標準的な2つの薬剤と併用すると、標準的な薬物療法だけの場合に比べて肺からバクテリアが除去されるまでの期間が短縮することが確認されました。
さらに、OPC-67683は肝酵素に影響を与えず、OPC-67683の活性は肝酵素の影響を受けませんでした。したがって、抗レトロウイルス薬を使用しているHIV感染患者においてOPC-67683の効果が失われたりOPC-67683が臨床問題をひここしたりする可能性は低いと考えられました。
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GoogleでOPC-67683と検索すると、
http://www.google.co.jp/search?hl=ja&rls=RNWE%2CRNWE%3A200
\n5-38%2CRNWE%3Aja&q=OPC-67683&btnG=Google+%E6%A4%9C%E7%B4%A
\n2&lr=
トップに結核研究所研究部の主任研究員の土井教生氏の以下の記事リンクがヒットします。
「新抗結核薬の開発状況,大塚製薬の新薬OPC-67683について」
競合や今後の展望が良くまとまっていますので、参考になると思います。
以下の記事に示すように薬剤耐性結核とHIVとの共感染が多くなっています。
薬剤耐性結核が増えつつある/超薬剤耐性結核のほぼ全員がHIVに感染している
http://www.biotoday.com/view.cfm?n=16080
今回新たに発表された試験ではOPC-67683は肝酵素に影響を与えず、OPC-67683の活性は肝酵素の影響を受けないことが確認されています。
これはHIVとの共感染が多い結核の治療では非常に重要なことだと思います。
今回新たに発表された記事でOPC-67683の存在を知りましたが、OPC-67683のような世界的に必要とされている薬剤を日本の製薬会社が開発していることに感動しました。
開発がうまくいくことを願っています。