血管新生阻害剤
Free!2003年9月2日のThomson Current Drugsの記事よりー未治療の直腸結腸癌患者800人以上を対象にした第3相試験で、Genentech社の血管新生阻害剤・Avastin(bevacizumab)の生存期間延長効果が確認されました。しかしながら、乳癌を対象にした臨床試験ではAvastinの生存期間延長効果を示せませんでした。つまりAvastinは全ての癌に効果があるわけではないようです。現在、Avastinに続く様々な血管新生阻害剤が開発されています。以下ではそれらの新しい薬剤を紹介します。
◇Multitargeted antiangiogenics
癌の血管新生には複数の血管新生因子が関与しています。たとえば進行した乳癌では6種類の血管新生因子が想定されています。現在開発中の大部分の血管新生阻害剤は一つの因子をターゲットとしていますが、複数の因子をターゲットをした化合物も存在します。その一つがAbbott社が開発中のABT-510です。現在第2相試験中のABT-510は自然由来の血管新生阻害タンパク質・thrombospondin-1 (TSP-1)の類似タンパク質です。AvastinはVEGFのみを阻害しますが、ABT-510はVEGFだけでなくbFGF、IL-8、HGFなども阻害します。
また、Pharmacia社の傘下会社・Sugen社が開発中のSU-6668も複数のターゲットを阻害する化合物で、FGF、PDGF、VEGFを阻害します。またSugen社はSU-11248という化合物も開発中です。SU-11248はPDGF、VEGF、KIT、FLT3 receptor tyrosine kinasesを阻害します。SU-11248はGleevec抵抗性を示す消化管間質腫瘍患者を対象にして第1/2相試験が進行中です。
◇化学療法剤と併用する血管新生阻害剤
AEterna社のNeovastat(AE-941)はMMP-2、MMP-9、VEGFの阻害作用を有し、現在腎細胞癌と非小細胞肺癌を対象にして化学療法剤/放射線療法との併用で第3相試験が進行中です。Progen Industries社のheparanase阻害剤・PI-88はTaxotere (docetaxel)との併用療法として第1相試験が進行中です。
◇Endogenous inhibitors(内在性の血管新生阻害物質)
プラスミノーゲンの一部からなるAngiostatin、collagen XVII由来のendostatin等は内在性の血管新生阻害タンパク質です。この2つのタンパク質はEntreMed社が現在第2相試験を実施中です。
◇遺伝子治療
血管新生阻害作用を有するタンパク質を体内で持続的に発現させて癌を治療する方法です。現在最も開発が進んだ遺伝子治療はIntrogen Therapeutics社のAdvexin (INGN-201)です。Advexinはp53タンパク質を発現する複製不能のアデノウイルスです。AdvexinはTSP-1を誘導して血管新生を阻害する作用があります。現在頭頚部癌を対象にして第3相試験が進行中です。
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