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女性をターゲットにしたタバコ会社のマーケティング戦略

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2005-06-02 | コメント

1970年代から調査を開始し、タバコ会社は喫煙女性のニーズや女性が喫煙するきっかけに寄与する莫大な数の心理学的・行動学的要因を同定していたことが分かりました。Harvard School of Public HealthのCarrie Murray Carpenter等がADDICTION誌に発表した研究成果です。


研究者等は、1988年のMaster Settlement Agreementで公開されたタバコ会社の内部資料を調べました。その結果、タバコ会社は女性の喫煙パターン、ニーズ、商品嗜好について広範囲な調査を行い、その結果に応じて商品デザインを変え、女性の喫煙を推進していたことが明らかになりました。

タバコ会社は今でも女性をターゲットにしたマーケティングを続行していますが、現在のマーケティングストラテジーは10年前と比べて多面的になっており、そのマーケティングが女性をターゲットにしたものであることが分かりづらくなっています。

男性の喫煙は減っていますが、女性の喫煙は年々上昇しています。特に発展途上の国の女性の喫煙率の伸びは著しくなっています。

タバコ会社のマーケティング戦略に対抗するような方策が必要です。それにはまず彼らのマーケティング戦略を理解する必要がありそうです。



<以下清宮がいろいろ思ったこと>

アル・パチーノとラッセル・クロウ主演の傑作映画「インサイダー」や「悪魔のマーケティング タバコ産業が語った真実」を読めばタバコ会社の悪事ぶりや鬼のようなマーケティング活動がよく分かります。インサイダーは実話を下にした映画です。

インサイダーによると、タバコ会社という裏社会で一度でも働いたことがある人は製薬会社などの「表」の会社に就職できなくなるようです。日本ではどうなんだろう。

また、インサイダーで、ラッセル・クロウはタバコ会社という悪の権化ともいえる会社に勤務していることで自己の信念と葛藤しますが、JTの社員は毎日どんな気分で仕事をしているんだろう。自分の子供に己の仕事をきちんと伝えられるのだろうか。

会社として成立してしまっている以上タバコ会社は利益を追求せざろう得ない。たとえば製造業者が費用を負担してリサイクルを推進しているように、タバコ会社も売るだけではなく、積極的に「売った後」もケアしていく必要があるかもしれない。たとえばタバコ会社が「喫煙に関わる病気の治療に関わる一切の費用を負担」するなんてことをすれば皆タバコ会社を悪く言う人はいなくなるかもしれないね。

車は便利で人の生活に欠かせないものになっているが空気を汚す。けど車会社はエンジンの性能を向上させて環境への排気ガスの負担をなるべく軽減しようとしている。

おそらくどんな事業でもある程度の「必要悪」をはらんでいる。昔はともかく今は、その必要悪を悪と認めて対処していく姿勢が企業には必要なんだと思います。タバコ会社はその必要悪が巨大であるだけに、必要悪への対処も相対的に巨大にならざろう得ないでしょうね。

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