クラミジア・トラコマチスは予想を超えるスピードで進化している/新たな疾患が出現する恐れがある

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2006-11-21 | コメント

クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)は公衆衛生上きわめて影響の大きい偏性細胞内バクテリアです。その感染者は世界人口の十分の一を超え、感染により不妊症や失明などが引き起こされることもあります。

自由生活性バクテリアにおいては、遺伝的組換えが遺伝子多様性の主要な供給源となっています。クラミジアのような細胞内バクテリアでも組換えが起こりうると分かっていますが、組換えが進化に重要な役割を果たしているのかどうかは分かっていませんでした。

20年以上前から実験用に使用されている19の参照株と、最近の臨床単離10株を使って、クラミジア・トラコマチスの遺伝的組換えの頻度と重要性を調べた遺伝子解析の結果が2006年11月7日のGenome Research誌に発表されています。

解析の結果、遺伝的組み換えは広範囲で起きていると分かりました。

いずれの臨床単離株でも複数の遺伝子座で組換えが起きており、同一のクローン系統に属するものは一つもありませんでした。

いくつかの参照株では遺伝子座間で系統発生的な不一致がみられました。たとえば、1つの参照株では、別の参照株由来の組換えが起きていると疑われる株が一つありました。

従来、クラミジア・トラコマチスは単独あるいは2つの遺伝子によって株が分類されてきました。今回の解析結果から、この分類と臨床上の表現型には不一致があり、その不一致は広範囲で組換えが生じていることに起因していると分かりました。

この研究成果から、進化、宿主細胞適応、新たなクラミジア疾患の出現などの可能性を考慮した臨床株の遺伝的基盤を精査する新たな方法が示唆されました。

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