大部分の急性気管支炎では抗生物質の投与は不要

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2006-11-21 | コメント

米国では、急性気管支炎患者の70〜80%に抗生物質が処方されています。しかし臨床エビデンスに従った治療を心がけるのではあれば、大部分の場合には急性気管支炎を抗生物質で治療することは控えるべきかもしれません。

2006年11月16日のNew England Journal of Medicine(NEJM)誌に、急性気管支炎の臨床レビュー報告が発表されています。

この臨床レビューでは40歳の急性気管支炎の症例が提示され、その評価方法と治療方法がまとめられています。

その中で著者等は、これまでに得られたエビデンスを紹介しつつ、治療可能な病原体が同定されている時には抗菌療法がより有益な場合があるが、急性気管支炎の大部分には抗菌薬の使用は勧められないと明言しています。

抗菌物質のセクションで紹介されているエビデンスは以下の通りです。

(1)Antibiotics in acute bronchitis: a meta-analysis. Am J Med 1999;107:62-67.:急性気管支炎に対する抗生物質使用の効果を評価したメタ解析結果。エリスロマイシン、ドキシサイクリン、トリメトプリムスルファメトキサゾールの使用で症状持続期間を僅かに0.3-0.5日ほど短縮。

(2)Azithromycin for acute bronchitis: a randomised double-blind, controlled trial. Lancet 2002;359:1648-1654.:上記の(1)のメタ解析が完了した後に発表されたアジスロマイシン vs ビタミンCの二重盲検試験の結果。7日時点での健康関連QOLで両治療群に差はなし。3日または7日時点での仕事、学校、通常の活動に復帰できた患者の割合も両治療群で差はなし。

(3)Antibiotics for acute bronchitis. Cochrane Database Syst Rev 2004;4:CD000245-CD000245.:急性気管支炎に対する抗生物質使用に関するコクランレビュー。有意だがほんの僅かの咳の期間の減少が認められた(0.6日)。体調不良を訴える日数は抗生物質治療で有意に低下せず。一方抗生物質による有害事象が増加。

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