抗加齢薬としての成長ホルモンの使われ方/アメリカ
Free!アンチエイジングの1つの方法として成長ホルモンがアメリカでどのように使用されているのかをまとめた記事がAPに発表されています。
ラスベガスで高級車の特約店を経営している44歳のRichard Weisman氏は、老化を防ぎ、若さを保つために、一握りほどのサプリメントと共に成長ホルモンを1週間に6回注射しています。この処置のおかげで、エネルギー、筋肉量、性欲が高まったとのことです。
アメリカでアンチエイジングの一環として成長ホルモンを注射しているのはWeisman氏だけではありません。他にも、主流から外れた医師が処方してくれた成長ホルモンを注射するアメリカ人がいます。
最近では老化マネージメント療法とも呼ばれる抗老化療法は、サプリメント、栄養カウンセリング、運動プログラムなどで主に構成されています。
しかし、特定の患者は血液検査を受けて、その多くにしばしば成長ホルモンが処方されます。成長ホルモンの1ヶ月の処方料は500ドルです。保険ではカバーされません。
成長ホルモンは下垂体で作られ、主に子供が成長に必須の役割を担っています。
薬としては、様々な理由で身長が伸びない子供、AIDS患者の消耗症候群、手術や放射線療法が原因で成長ホルモン欠乏に陥った成人に対する成長ホルモンの使用がFDAに承認されています。
その他の使用は基本的に違法です。若返りの薬として使用することも違法です。FDAは、違法行為について調査を勧めており、インターネットで成長ホルモンを販売している会社に警告文を送付しています。
これまで、抗加齢療法の一環として成長ホルモンを処方してきた医師は、抗加齢のために成長ホルモンを処方していることを隠そうとはしませんでした。しかし彼等は最近になって、成長ホルモンの処方を、成長ホルモン欠乏に対する治療として最定義するようになりました。
抗加齢薬として使用される成長ホルモンを取り巻く臨床・法律問題をまとめた2005年10月26日のJAMA報告の共著者の1人・Thomas Perls氏によると、成長ホルモンの大部分は小児に処方されなければならないのに、2004年の成長ホルモンの処方の74%は20歳以上の成人に向けられていたとのことです。
Perls氏によると、成人に対する成長ホルモンの高処方率の裏には、大量の成長ホルモンの違法な流通経路の存在が示唆されるとのことです。
65歳以上の高齢者を対象にして、成長ホルモンと性ステロイドの作用を調べたプラセボ対照無作為試験の結果が2002年11月13日のJAMA誌に発表されています。この報告から、成長ホルモンは除脂肪体重(体脂肪を除いた体重)を増やして脂肪を減らすが、糖尿病や耐糖能異常等の副作用を頻繁に引き起こすと分かりました。
ただし、このような報告が正しく伝わるとは限りません。National Institute on AgingのEvan Hadley医師曰く「物事を都合の良いように捉える人々や販売者によって、成長ホルモンに関する適切な研究成果が誇大に使用されている。若さの泉は今どこにあるのか?を知りたがっている人々に、科学は即答することができない。」
自身の患者の15%に成長ホルモンを使用しているGeoffrey Jones医師は次のように言っています。「私の同僚の多くが私がしていることを批判するけどね、それはそれで気持ちは分かるよ。私もかつては彼等と同じ立場だったから。成長ホルモンを使うなんてことを聞いた時には、実際、私も批判したよ。けどね、こういうじゃない『やってみないとわからない』って。」
2019-12-11|老化
+ 早老症の変異を来す蛋白質CSBはp21を封じて細胞老化を防ぐ役割を担う
2019-12-02|老化
+ 空腹と同様の有益効果をもたらす化合物3,4-dimethoxy chalcone (3,4-DC) を同定
2019-11-17|老化
+ IL-1阻害は老化による脂肪組織B細胞増殖を抑えて脂肪分解や耐寒力を改善する
2019-11-07|老化
+ mTOR抑制剤ラパマイシンは老化に伴う脳血流減少や神経活性低下を防ぐ
2018-03-17|老化
+ キナーゼCdk5活性の逸脱が老化を促して神経変性をもたらしうる
この記事についてのコメントは、まだ投稿されていません。