CD19をターゲットにした白血病、自己免疫疾患の新しい治療方法
Free!CD20をターゲットとしたモノクローナル抗体は非ホジキンリンパ腫や自己免疫疾患に有効です。しかしながら、CD20をターゲットとした免疫療法は、成熟したB細胞を枯渇させるだけで前駆B細胞や未熟B細胞、抗体産生細胞、またはそれらが癌化した細胞を枯渇させることはできません。というのもCD20は成熟したB細胞にしか存在しないからです。
一方CD19はB細胞の発達初期から発現しており、成熟B細胞を初めとして未熟B細胞、前駆B細胞、抗体産生細胞にも存在します。
そこで、東京大学大学院 医学系研究科皮膚科学の矢澤徳仁氏等は抗CD19モノクローナル抗体の効果を動物で試してみました。
ヒトCD19を発現するトランスジェニックマウスを用いた実験の結果、CD19をターゲットとしたモノクローナル抗体は成熟B細胞はもちろんのこと前駆B細胞、未熟B細胞、それらが癌化した細胞を除去しました。また、抗体・自己抗体産生細胞も除去しました。
B細胞リンパ腫モデルマウスに抗CD19モノクローナル抗体を投与すると、循環する腫瘍細胞や組織での腫瘍細胞の出現が7週間まで抑制されました。一方モノクローナル抗体を投与しなかったB細胞リンパ腫モデルマウスは3週間以内に死亡しました。
抗CD19モノクローナル抗体は、抗体や自己抗体も抑制することから、白血病やリンパ腫だけでなく自己免疫疾患や臓器移植後の拒絶反応予防・治療薬にも応用可能です。
この研究成果は、デューク大学のThomas Tedder氏が率いる研究グループによるものです。Tedder氏はデューク大学で白血病や自己免疫疾患を対象にした抗CD19抗体の臨床試験計画を考案中です。Tedder氏が設立したCellective Therapeutics社が抗CD19抗体の更なる開発を手がける予定です。
最近、MedImmune社がCellective Therapeutics社を買収することで合意しています。
2020-03-02|癌全般
+ 高用量ビタミンCで免疫チェックポイント阻害剤の抗癌効果を増強しうる
2020-02-23|癌全般
+ PD-1阻害剤はオピオイド・モルヒネの鎮痛作用を妨げうる
2020-02-17|癌全般
+ マンノース受容体活性化剤は腫瘍取り巻きマクロファージを腫瘍攻撃型にする
2020-02-16|癌全般
+ 性交渉を含む付き合いが10人以上とあった人が癌をより被っていた
2020-02-14|癌全般
+ 抗PD-L1/CTLA-4ナノボディ発現細菌の腫瘍投与でマウス全身の癌を駆除できた
この記事についてのコメントは、まだ投稿されていません。