GSKのNucalaが慢性閉塞性肺疾患悪化をプラセボ比で21%減らしたPh3試験報告
 ・ Nucalaの承認申請の状況を短く追記しました。
Merck KGaAがSpringWorks社を買うことが決定
 ・ 誤解を訂正しました(390億ドル→39億ドル)
PD1-VEGF抗体ivonescimabの肺癌初治療がKeytrudaに勝ったPh3試験論文報告
 ・ 誤字を訂正しました(非小細胞肺癌(NSCLC)癌治療→非小細胞肺癌(NSCLC)治療)。

CD19をターゲットにした白血病、自己免疫疾患の新しい治療方法

Free!
2005-10-15 | コメント

CD20をターゲットとしたモノクローナル抗体は非ホジキンリンパ腫や自己免疫疾患に有効です。しかしながら、CD20をターゲットとした免疫療法は、成熟したB細胞を枯渇させるだけで前駆B細胞や未熟B細胞、抗体産生細胞、またはそれらが癌化した細胞を枯渇させることはできません。というのもCD20は成熟したB細胞にしか存在しないからです。


一方CD19はB細胞の発達初期から発現しており、成熟B細胞を初めとして未熟B細胞、前駆B細胞、抗体産生細胞にも存在します。

そこで、東京大学大学院 医学系研究科皮膚科学の矢澤徳仁氏等は抗CD19モノクローナル抗体の効果を動物で試してみました。

ヒトCD19を発現するトランスジェニックマウスを用いた実験の結果、CD19をターゲットとしたモノクローナル抗体は成熟B細胞はもちろんのこと前駆B細胞、未熟B細胞、それらが癌化した細胞を除去しました。また、抗体・自己抗体産生細胞も除去しました。

B細胞リンパ腫モデルマウスに抗CD19モノクローナル抗体を投与すると、循環する腫瘍細胞や組織での腫瘍細胞の出現が7週間まで抑制されました。一方モノクローナル抗体を投与しなかったB細胞リンパ腫モデルマウスは3週間以内に死亡しました。

抗CD19モノクローナル抗体は、抗体や自己抗体も抑制することから、白血病やリンパ腫だけでなく自己免疫疾患や臓器移植後の拒絶反応予防・治療薬にも応用可能です。

この研究成果は、デューク大学のThomas Tedder氏が率いる研究グループによるものです。Tedder氏はデューク大学で白血病や自己免疫疾患を対象にした抗CD19抗体の臨床試験計画を考案中です。Tedder氏が設立したCellective Therapeutics社が抗CD19抗体の更なる開発を手がける予定です。

最近、MedImmune社がCellective Therapeutics社を買収することで合意しています。

この記事に対するコメントをお寄せ下さい

[この記事に対してコメントするには会員登録が必要です]

下記のフォームより、有料会員または無料メール会員のいずれかに登録してください。

[会員登録がお済みの方はログインしてください]

コメント一覧

この記事についてのコメントは、まだ投稿されていません。

会員様ログイン
メール会員(無料)募集中

メール会員登録(無料)をされますと、BioTodayに登録された記事を毎日メールでお知らせします。また、メール会員登録されますと、毎週月曜からの一週間あたり2つの記事の全文閲覧が可能になります。

メール配信を希望される方は、以下の欄にメールアドレスを入力下さい。

◇メール会員登録までの流れ

  1. メールアドレスを入力
  2. 入力したメールアドレスに自動生成されたパスワードが届けられる

後は、自動生成されたパスワードと登録したメールアドレスでログインすると毎週月曜からの一週間あたり2つの記事の全文閲覧が可能になります。

質問検索
BioToday 非会員の方へ

質問を投稿して頂くには、メール会員登録が必要です。

会員登録がお済みの方へ

質問を投稿して頂くには、ログインが必要です。
下記のリンクからログインしてください。

My Book

バイオを応用して開発中の新薬を紹介した本です。2001年10月に出版したものです。Amgen社のEPOGEN誕生の経緯やグリベック誕生までの道のりなど、現在販売されているバイオ医薬品の歴史について知りたい方には役に立つのではないかと思います。