レプチンが女性の健康の鍵を握る (2004.09/01)
Free!レプチンは脂肪組織が産生する蛋白質で、食欲および体重調節に関連すると同時に生殖、代謝、骨の形成など重要な機能を制御する。米国医学誌「New England Journal of Medicine」9月2日号掲載の研究では、自然産生されるレプチン濃度が低いために痩せ型で、骨粗鬆症、骨折、不妊を生じやすい視床下部性無月経の若年女性に低用量のレプチン注射が役立つ可能性が判明した。
研究者らは、エストロゲンおよび成長ホルモン濃度が低く、甲状腺レベルが異常な視床下部性無月経の女性スポーツ選手6人を低用量のレプチンで3カ月間治療する一方、別の6人には治療をせずに9カ月近く観察した。その結果、治療群では全員のホルモン濃度が正常に戻り、平均5.5カ月間なかった月経が再開し、骨密度が改善したが、未治療群に変化は見られず、病態の原因がレプチンの喪失であることが明らかになった。
主任研究者でベス・イスラエル・ディーコネス医療センターのヒト栄養研究責任者兼ハーバード大学医学部准教授のChristos Mantzoros博士によると、レプチンが関与する病態には神経性食欲不振、視床下部性無月経、エネルギー欠乏症の3種類がある。試験の結果からは、エネルギー欠乏症の不妊女性に対して体外受精を行う代わりに低用量のレプチンを投与するなど、新しい治療選択肢への道が開けている。
今後は、さらに大規模な試験によって、視床下部性無月経女性におけるレプチン使用が骨粗鬆症の予防およびホルモン濃度の正常化に安全かつ有効であるかどうか、長期的なレプチン補充が心臓、肝臓、腎臓、脳といった他の臓器の機能にマイナスの影響を与えないか、などを検証する必要がある。先ごろの試験は、米国立衛生研究所(NIH)、ハーバード大学、遺伝子組み換えホルモンを製造する米アムジェン社の資金援助で行われた。
(HealthDayNews 9月1日)
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- Appetite Hormone Key to Women's Health / HealthDayNews
- レプチンは月経を回復させる作用がある / BioToday
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