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自力で心筋梗塞を治す・骨髄性幹細胞を冠動脈疾患の治療に応用

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2002-06-02 | コメント

昨日は、パーキンソン病の治療に脳の成体幹細胞を応用する方法を紹介しました。今日は骨髄にある成体幹細胞が、冠動脈疾患の治療に応用されつつあるということを紹介します。

【骨髄の成体幹細胞】
骨髄にある成体幹細胞は、心臓や筋肉などの器官がダメージをうけると、血管を通ってその場所にたどり着き、ダメージを修復します。例えば血管が詰まった場合、骨髄の成体幹細胞はつまった血管のすぐ脇に血管のバイパスを作って血の流れを回復させます。この性質を応用して、骨髄の成体幹細胞が、冠動脈疾患の治療に応用されつつあります。

【冠動脈疾患とは?】
心臓の筋肉の表面には、冠動脈という細い血管が通っています。この冠動脈から酸素や栄養を貰うことで心筋は力強く収縮を繰り返し、血液を前身に送り出すことができます。

すなわち冠動脈は心臓になくてはならない存在です。しかし、細い血管であるため、不摂生がたたって、血液中のコレステロール値などが上昇すると、まっさきにこの冠動脈が動脈硬化をおこします。すると、冠動脈はたちまち血管本来の特性である弾力を失い、血の巡りが悪くなります。その結果、心臓の筋肉(心筋)に栄養や酸素が行き渡らなくなり、心筋が死んでいき、ついには心筋梗塞など心臓病に発展してしまうのです。このように、冠動脈がだめになって、心臓の機能が低下する病気を冠動脈疾患といいます。

【だめになった冠動脈の隣にバイパスを通す】
上で紹介したように、骨髄の成体幹細胞には血管を作る働きがあります。そこで、成体幹細胞を心臓に注射することで、だめになった冠動脈の代わりとなるバイパスを作らせ、冠動脈疾患を治療しようとするアイデアが心臓外科医の間に生まれました。

【成体幹細胞の冠動脈疾患への応用 第1号誕生】
そして、つい最近、シドニーの病院で74歳の男性に対してそのアイデアに沿った心臓外科手術が実行されました。すなわち、男性の骨髄から成体幹細胞を取り出し、その成体幹細胞をだめになった冠動脈の周囲に注射したのです。

まだ、実際にこの手術によって冠動脈のバイパスができたかどうかは確かめられていないようです。今後半年間にわたり患者の状態を観察し、成体幹細胞が実際に機能しているかどうかを調べていく予定です。

△Reuter
http://www.reuters.com/news_article.jhtml?type=sciencenews&StoryID=794228

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