1日1個のリンゴはガンを防ぐ
Free!「リンゴに含まれるポリフェノールの一種・Quercetinには、膵臓ガンを治療する効果がある」という研究結果が米国退役軍人協会が運営する病院の外科医等によって2002年4月付のInt J Cancer誌に発表されました。
これまでの研究結果から、植物由来のポリフェノールにはガンを治療する効果があるとなんとなくわかっていました。そこで、外科医等は実験的に膵臓ガンをおこしたマウスに、リンゴに多く含まれるQuercetinというポリフェノールを注射し、ポリフェノールの抗がん作用を調べました。この結果、 Quercetinを注射したマウスは、注射しなかったマウスに比べて8日間長生きすることができました。
さらにポリフェノールの抗癌作用がどのようにして生まれるのかを詳しく調べたところ、ポリフェノールは癌細胞のミトコンドリアを破壊することで癌細胞を自爆させていると考えられました。ミトコンドリアは、通常は細胞に必要なエネルギーを生み出す細胞内小器官ですが、ひとたび外部からストレスをうけると毒を撒き散らして細胞を自爆させます。このような細胞の自爆をアポトーシスと言い、ミトコンドリアが出す毒をcytochrome c (シトクロームC)といいます。シトクロームCがミトコンドリアから流出すると、細胞内でカスパース(caspase)という時限爆弾が動き出し、やがて細胞が自爆します。すなわち、リンゴのポリフェノールは、癌細胞を無理矢理自爆させることでガンを治療する効果を発揮しているのです。
今後はリンゴのポリフェノールであるQuercetinを改良して、正常細胞にはアポトーシスをおこさずに、癌細胞だけにアポトーシスをおこす抗癌剤が開発されていきます。アメリカでは「1日1個のリンゴで病気知らず」という諺があります。古の人は経験的にリンゴが健康に良いということを知っていたのでしょう。
△Plant compounds may curb pancreatic cancer growth
http://www.reutershealth.com/archive/2002/04/16/eline/links/20020416elin005.html
△Int J Cancer 2002 Apr 10;98(5):761-9
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=Retrieve&db=PubMed&list_uids=11920648&dopt=Abstract
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