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syringomycin(シリンゴマイシン)の生合成におけるハロゲナーゼ・SyrB2の結晶構造解析で分かったハロゲン化の美しきシンプルさ

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2006-05-02 | コメント

医学的に有用なハロゲン化天然化合物(ハロゲン化化合物)を作るときには、酵素は、特定の化学結合を分離して、水素原子をハロゲン化物と交換します。実験室においては、このハロゲン化は非常に困難な課題ですが、自然界はこれを難なくやってのけます。

なぜ自然界ではハロゲン化をこうもやすやすとやってのけられるのか?鉄を含む酵素の実験からそのヒントが得られました。

微生物・Pseudomonas syringaeが抗真菌薬・syringomycin(シリンゴマイシン)を作る時に使うハロゲナーゼ・SyrB2は、その活性部位に1つの鉄を有しています。SyrB2は、syringomycinの生合成においてトレオニンの塩素化を触媒します。

研究者等は、SyrB2を結晶化し、X線を用いてこの酵素の物理的構造を解明しました。

通常、鉄を含む酵素は、活性部位において3つのアミノ酸で鉄を保持しています。しかしながら、SyrB2では、3つのアミノ酸のうちの1つが通常のアミノ酸よりも短いアミノ酸に置き換わっています。

短いアミノ酸に置き換わることで、活性部位に塩化物イオンが入り込むスペースができます。こうして、大げさな仕掛けを用いずとも塩化物イオンはこのスペースに入り込み、鉄と結合できると分かりました。

鉄と塩素が結合したら、活性部位が閉じて、ハロゲン化の引き金が引かれると分かりました。

酵素がハロゲン化反応を触媒するのに必要な活動の変化は非常にラジカルです。したがって、多くの人はその酵素の構造に非常な手の込んだしかけがあると考えていました。しかし今回の結果から、非常に単純な仕組みでSyrB2はハロゲン化を触媒していることが分かりました。

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