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脳の亜鉛はアルツハイマー病の原因?

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2002-06-02 | コメント

韓国の研究者等によって「マウスにおいて、脳のシナプスが亜鉛を放出できないようにすると、アルツハイマー病をおこすAβタンパク質の沈殿を防げた」という実験結果が2002年4月30日のPNAS誌に発表されました。

脳にAβという物質が凝集して沈殿し、それが悪さをすることがアルツハイマー病の原因とされています。Aβが凝集する際には、なんらかの金属が必要なのではないかと考えられてきました。

韓国の研究者等は、その役割を果たす金属が亜鉛なのではないかと考えました。亜鉛は、「ZnT3」というバスに乗って神経細胞と神経細胞が繋がる部分であるシナプスという部分に運ばれてきます。ZnT3というバスがないと亜鉛はシナプスに来ることができません。

そこで彼等は、実験的にAβを大量に生産してしまうマウス(Aβマウス)をつくり、そのマウスでZnT3が働けないようにしてみました。つまり、亜鉛が神経細胞のシナプスで働けないようにしてみたのです。すると、ZnT3がシナプスで普通に働いているAβマウスは、すぐに脳でAβが凝集・沈殿したのに対し、ZnT3が働かないマウスではAβの沈殿がおこりませんでした。

この結果よりAβが凝集して沈殿するには亜鉛が必要であることがわかりました。すなわちアルツハイマー病の原因であるAβの凝集・沈殿を防ぐには、神経細胞のシナプスでの亜鉛の働きを適切に制御する必要があるということです。

シナプスでの亜鉛の分泌はエストロゲンなどの性ホルモンによって制御されているということがわかっています。今後は、シナプスにおける亜鉛の働きを調べ、亜鉛の働きを正常化してAβの蓄積を防ぐ薬が開発されていくでしょう。□□

△Zinc may contribute to Alzheimer's plaques
http://www.reutershealth.com/archive/2002/04/29/eline/links/20020429elin019.html
△Contribution by synaptic zinc to the gender-disparate plaque
formation in human Swedish mutant APP transgenic mice.PNAS
published April 30, 2002, 10.1073/pnas.092034699 ( Neurobiology )
http://www.pnas.org/cgi/content/abstract/092034699v1

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