【JAMA】2006年5月17日発行のJAMAのOriginal ContributionsとReviewsのサマリー
Free!2006年5月17日発行のJAMAのOriginal ContributionsとReviewsのサマリーです。
◇Original Contributions
Effect of Hypobaric Hypoxia, Simulating Conditions During Long-Haul Air
Travel, on Coagulation, Fibrinolysis, Platelet Function, and Endothelial
Activation
JAMA 2006;295 2251-2261
http://jama.ama-assn.org/cgi/content/abstract/295/19/2251?etoc
長距離の飛行機旅行と静脈血栓塞栓症の関連は、依然として決着がついていません。地上で静かに座っていた場合に比べて、飛行機室内の圧力低下と酸素圧低下が静脈血栓塞栓症のリスクを上昇させるかどうかは不明です。
この文献は、長期間の飛行機旅行を模した状態において、低酸素状態が止血(凝血)マーカーに対してどのような影響を及ぼすかを調べた単盲検クロスオーバー試験の結果を報告しています。
この試験には、血栓症のリスクが低い健常人が参加しました。被験者は、低圧・低酸素環境または正常圧・正常酸素環境の部屋で8時間座りました。低圧・低酸素環境は飛行状態を模したもので、正常圧・正常酸素環境は地上レベルでの状態を模したものです。
部屋に入る前と8時間後の血液を採取し、止血マーカーの変化が評価されました。
血液解析の結果、低圧・低酸素環境に起因すると思われる凝血促進性の変化は認められませんでした。
この結果から研究者等は「血栓症のリスクが低い健常人において、低圧・低酸素環境が凝血を促進するように作用するという仮説は支持されなかった」と結論しています。
Effect of Policosanol on Lipid Levels Among Patients With
Hypercholesterolemia or Combined Hyperlipidemia: A Randomized Controlled
Trial
JAMA 2006;295 2262-2269
http://jama.ama-assn.org/cgi/content/abstract/295/19/2262?etoc
サトウキビ由来の物質・Policosanol(ポリコサノール)は、脂質低下作用を有する非処方薬として宣伝されています。主に単一施設で実施された80件以上のプラセボ対照試験から、5-40mg/日のポリコサノールはスタチンと同等の効果を有することが示唆されています。
この文献は、高コレステロール血症または混合型高脂血症(複合型高脂血症)患者を対象にして、ポリコサノール10mg-80mg/日とプラセボの効果を比較した試験結果を報告しています。
試験の結果、用量に関わらずポリコサノールの脂肪レベル低下作用がプラセボに勝るという事実は認められませんでした。
Reported Outcomes in Major Cardiovascular Clinical Trials Funded by
For-Profit and Not-for-Profit Organizations: 2000-2005
JAMA 2006;295 2270-2274
http://jama.ama-assn.org/cgi/content/abstract/295/19/2270?etoc
2000年以前のデータから、営利組織の資金援助で実施された臨床試験では、非営利組織の資金提供で実施された臨床試験に比べて肯定的(ポジティブ)な結果が報告される割合が高くなっていることが示唆されています。
この文献は、3つの高インパクトジャーナル・JAMA, The Lancet, New England Journal of Medicineに2000-2005年に発表された心血管系の優越性試験(Superiority Trial)をレビューし、資金の出所と肯定的な結果が報告される割合の関連を調べた結果を報告しています。
調査の結果、営利組織または営利・非営利組織の両方から資金提供を受けた試験では、非営利組織から資金提供を受けて実施した試験に比べて肯定的な結果を報告する割合が高くなっていました。
◇Reviews
Anti-TNF Antibody Therapy in Rheumatoid Arthritis and the Risk of Serious
Infections and Malignancies: Systematic Review and Meta-analysis of Rare
Harmful Effects in Randomized Controlled Trials
JAMA 2006;295 2275-2285
http://jama.ama-assn.org/cgi/content/abstract/295/19/2275?etoc
腫瘍壊死因子は、感染と悪性腫瘍に対する生体の防御システムとして重要な役割を担っています。したがって、抗TNF治療を受けている患者では、これらの疾患を発現するリスクが高くなっている可能性があります。
この文献は、リウマチ患者を対象にした抗TNF抗体治療のプラセボ対照無作為化臨床試験のデータをメタ解析し、重度の感染症または悪性腫瘍のリスクを抗TNF抗体治療とプラセボで比較した結果を報告しています。
メタ解析の結果、抗TNF治療を受けているリウマチ患者では、重度の感染症のリスク上昇と用量依存的な悪性腫瘍の発現リスク上昇が認められました。
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