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Vioxx服用で脳卒中や心筋梗塞のリスクは上昇するが、それは服用18ヶ月以降に限ったことではない

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2006-06-28 | コメント

2005年3月17日のNEJM誌に発表された研究成果から、Merck社のVioxx(Rofecoxib、ロフェコキシブ)は、18ヶ月以上服用すると脳卒中や心筋梗塞などの血栓性のイベントの発現リスクが明らかに高くなると考えられてきました。Merck社にとっては、このエビデンスが、18ヶ月未満のVioxxの服用で血栓性のイベントを起こした患者の訴えを退けるための拠り所となっていました。

しかしこのたび、オリジナルな試験報告で採用されていた方法(linear time)とは別の方法(logarithm of time)で改めてデータが解析され、新たな解析結果を基にして試験報告の内容が訂正されることになりました。

訂正後の文献の内容を端的にまとめると「Vioxxの服用で脳卒中や心筋梗塞などの血栓性のイベントの発現リスクが有意に上昇し、そのリスク上昇は18ヶ月間の服用以後のみに認められるわけではない」ということです。

具体的には、以下の記載がアブストラクトから消去されます。

アブストから消去:The increased relative risk became apparent after 18 months of treatment; during the first 18 months, the event rates were similar in the two groups

There was earlier separation (at approximately five months) between groups in the incidence of nonadjudicated investigator-reported congestive heart failure, pulmonary edema, or cardiac failure (hazard ratio for the comparison of the rofecoxib group with the placebo group, 4.61; 95 percent confidence interval, 1.50 to 18.83)

アブストの結果と結論の部分から上記の削除部分を差し引くと以下のようにとてもシンプルになります。

Results A total of 46 patients in the rofecoxib group had a confirmed thrombotic event during 3059 patient-years of follow-up (1.50 events per 100 patient-years), as compared with 26 patients in the placebo group during 3327 patient-years of follow-up (0.78 event per 100 patient-years); the corresponding relative risk was 1.92 (95 percent confidence interval, 1.19 to 3.11; P=0.008). The results primarily reflect a greater number of myocardial infarctions and ischemic cerebrovascular events in the rofecoxib group. Overall and cardiovascular mortality was similar in the two groups.

抄訳:Rofecoxib投与群の方がプラセボ投与群よりも血栓性のイベントが起きるリスクが1.92倍高い。この結果は、虚血性脳血管イベントと心筋梗塞の発現数がrofecoxib群でとても多かったことを反映している。全死亡と心血管疾患による死亡は両群で同程度だった。

Conclusions Among patients with a history of colorectal adenomas, the use of rofecoxib was associated with an increased cardiovascular risk.

抄訳:結腸直腸腺腫の既往がある患者において、rofecoxibを使用すると心血管疾患のリスクが上昇する。

このほかに1097、1087、1100ページにも記載が削除・変更になる箇所があります。

訂正された文献は7月13日のNEJM誌に正式に発表される予定です。

Merck社はオリジナルの報告を支持していることを示すレターをWEBサイトに掲載しています。

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