心地よい温度を感じる皮膚センサー
Free!スイスが世界に誇る大製薬会社・ノバルティス社の研究者等によって、皮膚の細胞にある「温度センサー」が発見されました。その物質の名前をTRPV3といいます。
これまでの研究から、神経細胞において、3種類の温度センサーが見つかっています。それぞれをTRPV1、TRPV2、TRPM8と言います。
この3種類は、それぞれ役割分担を決めて温度を感知しています。TRPV1は42℃以上の温度を感知し、TRPV2はさらに高温の50℃以上を感知します。一方TRPM8は高温ではなく、25℃以下の低温を感知します。
「お、今日の風呂は熱めだな」という時にはTRPV1、やかんの蒸気にあたって「あちっ」と感じた時にはTRPV2、今日は冷えるなと言う時にはTRPM8がそれぞれ働いているのです。
ノバルティス社の研究者等が見つけたTRPV3は、今までみつかった温度センサーとは違い、常温または常温より少し高めの時に活性化します。
高温状態または低温で活性化する温度センサーというのは、言い換えれば身体にとって危険が迫っている時に働くセンサーといえます。一方TRPV3は常温で活性化することから、心地良い気分を味わうためのセンサーといえるかもしれません。丁度いい湯加減の風呂に入っているときに活性化しているわけです。
詳しくは以下のニュースを読んで頂きたいのですが、TRPV1、TRPV2、TRPM8そして今回みつかったTRPV3は、温度を感知するだけでなく、痛みなどにもかかわっているとわかっています。
今後は痛みを治療する薬の開発などにもTRPV3は応用されていくようです。□□□
△"Warm To The Touch" Gene Found
http://www.sciencedaily.com/print/2002/05/020520075300.htm
△A Heat-Sensitive TRP Channel Expressed in Keratinocytes. Published online May 16, 2002
http://www.sciencemag.org/cgi/content/abstract/1073140v1
△ノバルティス社
http://www.novartis.com/
△Scripps Research Institute
http://www.scripps.edu/
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