病院内の手順をちょっと変えるだけで心臓発作のバルーン処置までの時間が短縮できる
- 2006-11-17 - ST上昇心筋梗塞患者に対して再潅流療法を迅速に実施すれば生存のチャンスが増します。ガイドラインは、病院到着から冠動脈内バルーン拡張(ドアからバルーン)までの間隔を90分以内とするように推奨しています。殆どの病院はこの基準を達成できていません。 (10 段落, 696 文字)
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▽病院内の手順をちょっと変えるだけで心臓発作のバルーン処置までの時間が短縮できる
http://www.biotoday.com/view.cfm?n=16345
“ちょっと変えるだけで”とは書いたものの中には実行が難しい戦略もあります。たとえば通知を受けてから20分以内にスタッフ全員がカテーテル室に集まることや心臓内科医を病院に常駐させることなどはコストがかかる可能性がありますし、スタッフの満足度を低下させるかもしれません。
しかしそれ以外の戦略は大部分の病院で実行できそうです。
この報告に関連したエディトリアル(1)では、どの病院でも実行できる戦略の中でも特に重要な戦略として以下の3つをあげています。
・病院到着前に得られた心電図データを基にしてカテーテル室を始動(activation)させること
・カテーテル室の始動に一回の呼び出し(single page)を使う
・救急科の医師がカテーテル室を始動させられる
このエディトリアルでは、治療の遅れが“殺人行為”に相当すると判断された裁判の例が紹介されています。
イリノイ州の陪審は、適切な診断・治療の前に救急科の待合室で2時間近く待たされた患者の死亡は殺人行為に匹敵する可能性があると判断しました。
心臓発作患者を受け入れている病院は、患者の転帰を改善するためにも、裁判を防ぐためにも今回のNEJM報告の成果を積極的に取り入れていく必要があるようです。
(1)Reducing the Door-to-Balloon Time for Myocardial Infarction with ST-Segment Elevation
http://content.nejm.org/cgi/reprint/NEJMe068255v1.pdf