小児排他性試験で損する製薬企業もあれば大きな利益を得る企業もある
- 2007-02-07 - アメリカでは、小児を対象にした臨床試験を製薬企業が実施すると、薬剤のパテント保護期間が6ヶ月間延長されます(pediatric exclusivity、“小児排他性”)。 (3 段落, 332 文字)
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たとえば、小児での臨床試験は、患者である子供から自覚症状を評価しにくい点もあり、大人で有効な薬が子供では評価されにくいこともあります。子供は自覚症状を的確に訴えることができませんので、客観的指標がない限り臨床試験は成り立たないわけです。これは大人でも同じことですが、小児での反応は成長に伴い一人ひとりの違いが大きいため、大人以上にバラツキが生じやすい側面があります。
それに加え、「インセンティブは最初から小児も含めた開発を行った製品にはつかない」わけですから、最初から小児で適応を目指す必要はないことになります。
一方、大人の薬として市場に出た後は子供に適応症がなくとも同じ薬が子供に利用され、既に子供で使われている実情を考えると新たに投資して小児での適応を狙う必要が減るということもあります。
小児で適応をとると得をする場合と損をする場合とは、このような事情を反映しているのではないでしょうか?
今、「欧米で許可された薬が日本人にも外挿して利用できる」ようにしようとの話がありますが、では、大人で使われている薬を用量を減らして子供で適応取得させてよいかという問題がでてきます。
大人と子供では疾病の質や薬物代謝が違うのと同様、白人と黒人と黄色人種を同じように扱っていいわけがありません。
子供対象の臨床試験をどうするかという問題は、創薬活動の様々な側面における問題をはらんでいるように思います。
この場合、"pediatric exclusivity"とは"fast track"や"orphan drug"と同じ行政手続きの一種と考えられますので、他の訳語が適切でないかと思います。法律用語には詳しくないのですが、小児分野臨床開発に対する「排他的優先権」「優遇措置」みたいな感じでしょうか。