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SU5614は大腸癌に効かない

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2002-06-30 | コメント

Pharmacia社の子会社Sugen社が開発している血管新生阻害剤・SU5416(semaxanib)が、大腸がんに対する第3相試験において効果を示せず(2002年2月8日プレスリリースより)。大腸がんに対するSU5416の臨床試験は中止となった。

SU5416は、癌の血管新生に必要とされるVEGF(vascular endothelial growth factor)がその受容体であるVEGFRに結合するのを阻害する。

血管新生阻害剤といえば、Nasdaq100の面汚しImClone社Erbituxが有名だ。ImClone社のErbituxはVEGFではなくEGFという別の血管新生促進物質の働きを防ぐ。またAstraZeneca社のIressaはEGFが結合するEGF受容体のキナーゼの働きを阻害する。

SU5416は大腸癌以外の癌(血液の癌、末期固形癌)に対する臨床試験も同時並行で進めており、それらの癌に対する臨床試験は今後も続行する。したがって、SU5416の開発が完全に止まったわけではない。

今年に入ってからというもの、ImClone社のスキャンダルを発端として、バイオを応用した新しい抗癌剤の臨床試験結果を疑問視する声が高くなっていた。大腸がんを対象としたSU5416の臨床試験が中止になったことで、しばらくはバイオによる新しい抗癌剤に対する風当たりは強くなりそうだ。

Sugen社はサウスサンフランシスコの郊外にあり、癌にかかわるキナーゼを阻害する物質の開発に強みを持つ。1999年にファルマシアに買収されたが、リストラされることも無く、ほぼ買収前と同じ状態で研究活動が活発に進んでいる。

Sugen社は、SU5416のほかにSU6668という血管新生阻害物質も開発しており、こちらは第1相試験が進行中だ。SU6668は、SU5416と同様にVEGF-R受容体を阻害する作用を持つと同時に、PDGF受容体(platelet derived growth factor receptor)FGF受容体(fibroblast growth factor receptor)も阻害する。

American Home Products社Wyeth-Ayerstのように、Pharmacia社から独立した会社として自治を認めてもらうためには、Sugen社はSU5416やSU6668の開発を成功させなければならない。生存競争はどこでも厳しいものだ。

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