定義があいまいな「黒人」に効くとしてNitroMed社のBiDilの発売を許可してよいか?
Free!NitroMed社が開発しているアフリカ系アメリカ人(黒人)の心不全治療薬候補・BiDilの承認の是非が16日(今日の夜)のFDAの諮問委員会でレビューされます。特別レポートで解説したように、FDAはNitroMed社に対して2001年に承認見込みを通知しており、その通知に中で「黒人を対象にした試験で有意な効果が確認できれば承認できる」と返答しました。FDAの承認見込み通知で指示された臨床試験・A-HeFTのデータが16日の諮問委員会のレビューの焦点となります。
黒人に効果があるということは試験の結果から確かですが、もし発売されたとして、「黒人」ということをどのように同定すべきかは重要な問題です。たとえば、これまでの家系に1人でも黒人がいれば自分もブラックと言えるのか?などは難しい課題です。
BiDilが黒人に効いていることから、黒人特有の遺伝子要因を有する人にBiDilは効くのでしょう。今後詳しく調べていけばBiDilが効果を発揮する特有の遺伝子要因が明らかになる筈です。しかし、その要因がよく分からない現在において、定義があいまいな「黒人」に効くとして発売を許可してよいものかどうかがFDAの諮問委員会では集中して議論されるでしょう。
- U.S. to Review Heart Drug Intended for One Race / NewYorkTimes
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