凍らせたヒト脳組織を傷めず解凍
 ・ 手法の名称を追記しました。
脾臓の超音波刺激でラットの肺高血圧症が改善
 ・ タイトルの誤字を訂正しました(脾臓に超音波刺激→脾臓”の”超音波刺激)
ワクチンに添加される植物由来の免疫増強成分QS-21を酵母で作る手段を開発
 ・ 関連ニュースを追加しました。

Alnylam社の神経毒蓄積疾患・肝性ポルフィリン症の治療薬をFDAが早々と承認

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2019-11-21 | コメント

血液の酸素結合を助ける蛋白質ヘムの生合成酵素いずれかが遺伝的欠陥によって損なわれて毒性分子が蓄積することで生じる稀な病気・急性肝性ポルフィリン症(AHP)を患う成人の治療薬を米国FDAが初めて承認し、RNA干渉薬の先駆会社Alnylam Pharmaceuticals(アルナイラム)社はその薬GIVLAARI(givosiran、ギボシラン)の米国医療機関向けの出荷を今年中に開始します。

GIVLAARIはRNA干渉の仕組みを介して肝酵素・アミノレブリン酸合成酵素1(ALAS1)のmRNAを分解してそのレベル上昇を解消し、AHPの発作やその他症状と関連する神経毒成分・アミノレブリン酸(ALA)やポルフォビリノーゲン(PBG)を減らします。

今回のFDA承認は世界18か国36医療施設のAHP患者94人が参加したプラセボ対照無作為化試験(ENVISION)の結果に基づきます。

そのENVISION試験の結果、GIVLAARIは、重度の痛み・麻痺・呼吸不全・発作・精神変容を伴いうる深刻なポルフィリア発作の発現率をプラセボに比べて70%抑制しました(6か月間の平均発現数はGIVLAARI群では1.9、プラセボ群では6.5)。

ENVISION試験でGIVLAARI投与患者により多く認められた副作用は嘔吐と注射部位反応で、それぞれ20%と25%に生じました。

Reuters(ロイター)はGIVLAARIの値段についてアルナイラム社に尋ねましたがまだ回答を得ていません。また、同剤の年間売り上げは最大5億6000万ドルに達するとのアナリスト予想を紹介しています。

審査期間が通常より4か月短い優先審査の対象として米国FDAは今年8月の初めにGIVLAARIの承認申請を受理しました。優先審査の締め切りは来年2月4日でしたが、FDAはその締め切りまで2か月半ほどを残して早々と同剤の承認を決めました。

去年8月のアミロイド症治療薬ONPATTRO(patisiran)に続く今回の2つ目のFDA承認受理を受けてアルナイラム社の株価は10%近く上昇しています。

【2019年11月21日追記】ロイターがGIVLAARIの1年間の費用は575,000ドルと新たに報じました。値引き後だと年間442,000ドルになるとのことです。

OppenheimerのアナリストLeland Gershell氏はその値段であれば同剤の来年の売り上げは4700万ドルになると予想しています。

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