マラリアのセルペンチン受容体10は宿主周期との同調を橋渡ししているらしい
Free!人が明暗に応じて生理周期を調節するように赤血球内のマラリア寄生虫も宿主の有り様にあわせて増殖に勤しみます。
サウジアラビアのKING ABDULLAH UNIVERSITY OF SCIENCE & TECHNOLOGY (KAUST) が英国エジンバラ大学や日本の長崎大学と協力してマウス感染マラリア寄生虫の遺伝子一揃いの活動を調べたところ半数以上(57%)が24時間周期で発現しており、その周期はマラリア感染患者に特徴的な発熱と悪寒の周期と一致していました。
それらの周期性遺伝子の約6割(58%)の転写周期は赤血球内マラリア寄生虫とマウスの同調がずれると失われました。
培養(In Vitro)ヒトマラリア寄生虫(P. falciparum)遺伝子の6%は独自の24時間周期発現を示し、そういう遺伝子の1つセルペンチン受容体10(SR10)を欠くマウスマラリア寄生虫の周期は2-3時間短縮しました。
また、マラリア寄生虫のDNA複製や蛋白質分解機構などの細胞の生業がSR10欠損や宿主との同調の消失で乱れました。
膜貫通蛋白質SR10は宿主の周期とマラリア寄生虫の生来の周期調節を繋ぐ役割を担いうるとKAUSTの研究者は考えており、今後の課題として薬の標的となりうるSR10信号伝達分子の解明を目指しています。
- Clocking in with malaria parasites / Eurekalert
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