Applied社のガラクトース血症薬のPh3失敗〜しかし承認申請を目指す
 ・ Ph3試験の名称の誤解を訂正しました(AT-007→ACTION-Galactosemia Kids)
Aldeyra社の嫌な予感通り米国FDAがドライアイ薬reproxalapを承認せず
 ・ 誤記を訂正しました(来月注→来月中)
Gamida Cell社の血液癌治療臍帯血製品Omidubicelを米国FDAが承認
 ・ 抜けていた製品名Omisirgeを追記しました。

推定余命の短い高齢男性にもPSA検査が高率で実施されている

  • 2006-11-15 - 大部分のガイドラインは、推定余命が短い高齢男性へのPSAスクリーニングは推奨していません。というのもPSAスクリーニングの有害な作用が予想されるベネフィットを上回っているからです。しかしながら、高齢男性に対するPSAスクリーニングが実際の臨床でどの程度実施されているかは殆ど調べられていません。 (5 段落, 484 文字)
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コメント一覧
2006-11-20 | 投稿者 : 清宮さん
Kentiさん、コメントありがとうございます。

丁寧に説明していただきありがとうございます。さぞやお時間をかけて記入頂いたと察します。そのような労力をかけて非常に有益なご意見をいただいたことに心から感謝します。

確実に死に至る病気で、早期診断がより良い生に繋がるなら早めに病名を知りたいと思う人は多いでしょう。

しかし前立腺癌については、早期診断で必ずより良い生が送れるかというとそうとも言えず、治療によってQOLが阻害されるリスクもります(1)(2)(3)。

Kentiさんがおっしゃるように、対象を踏まえた検査が必要だし、もし啓蒙するなら前立腺癌の予後やPSAスクリーニングの現状を包み隠さず説明する必要があると思っています。

(1)Stanford JL, Feng Z, Hamilton AS, et al. Urinary and sexual function after radical prostatectomy for clinically localized prostate cancer: the Prostate Cancer Outcomes Study. JAMA. 2000;283:354-360.
http://jama.ama-assn.org/cgi/content/abstract/283/3/354

(2)Hamilton AS, Stanford JL, Gilliland FD, et al. Health outcomes after external-beam radiation therapy for clinically localized prostate cancer: results from the Prostate Cancer Outcomes Study. J Clin Oncol. 2001;19:2517-2526.
http://www.jco.org/cgi/content/abstract/19/9/2517

(3)Steineck G, Helgesen F, Adolfsson J, et al. Quality of life after radical prostatectomy or watchful waiting. N Engl J Med. 2002;347:790-796.
http://content.nejm.org/cgi/content/abstract/347/11/790
2006-11-20 | 投稿者 : Kentiさん
こんにちは、

PSAの話題にコメントしようかどうかを散々迷ったのですが、あえてコメントさせてもらいました。

誤解のないように申しますと、僕もPSA開発者さんの信条には賛成で、PSAによるスクリーニングが役立つことを否定するものではありません。たまたま、この話題をきっかけに普段から思っていたことを記させてもらいました。

物事には必ず2面性があります。たとえば、極端な例で言うと、終末期医療において「人工呼吸」をしてとにかく生かそうとする医療と、ホスピスのように死を前提とした医療とのどちらが良いかは人それぞれの立場、考え方、周囲の状況によると思うのです。

話をPSAに戻すと、血清で簡便に検査できる指標が開発されたことは大きな意味を持ちます。しかし、それを適切に利用しきれていない側面もあると思います。

たとえば、下記の論文ではPSAのカットオフ値は決めかねると論じています。

JAMA. 2005 Jul 6;294(1):66-70.
Operating characteristics of prostate-specific antigen in men with an initial PSA level of 3.0 ng/ml or lower.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=PureSear
\nch&db=pubmed&details_term=15998892%5BUID%5D


米国で行われたある薬剤の臨床試験で、ベースラインのPSAが3ng/mL以下で直腸診の結果も正常だった55歳以上の男性において、毎年の検査でPSA値が4.0ng/mLを超えた、もしくは、直腸診で異常だった時点で生検をしたそうです。以下のURLに日本語で詳しく記されています。

http://medwave2.nikkeibp.co.jp/wcs/leaf?CID=onair/medwave/
\nmdps/385278


ここで、注目したいのは、「5587人(65.2%)が少なくとも1回生検を受け、1225人が前立腺がんと診断された」という事実です。

カットオフ値を下げて感度を上げれば見逃しは少なくなりますが不必要な生検をすることにつながり、感度を下げれば見逃しが増えるというジレンマがあるわけです。

この論文を読んだ当時、必要のない生検をしている人があまりにも多いことに驚いたものでした。この驚きは、PSAが優れた検査だと思っていた(実際、優れているのでしょうが)から、なおさら大きかったです。

前立腺がんによる死のリスクが3%といわれるなか、必要のない生検をしたり、PSAの検査をしたことで癌のリスクにおびえてストレスのかかる日々を過ごすことを考えると、はたして本当に定期健診で癌の検査をする必要があるのか疑問に思います。

=================

大腸癌検査に限らず、定期的な検診をやればいいということではなく、家族歴から癌のリスクが疑われる人に限って実施するなど、検査は複合的な要因を考慮すべきと思います。

あるひとつの検査マーカーだけで、それが良いか悪いかを判断することはできず(実際、そのような単一の判断はしていないでしょうが)、また、検査マーカーの良い面だけでなく、そこに付随するさまざまなデメリットも考える必要があると思います。こうしたことは、すでに考えた上でさまざまな検査が行われていますが、それでも、時々、わかっていない人々がいるところに問題があるのかもしれません。

長々と書いてきましたが、個人的には万が一のリスクを考えて定期検査を受けるくらいなら、何も危険を知らずに能天気に暮らしていたい(それが死につながるとしても・・・)と思います。

そこには死生観につながる議論に発展するほど奥深いものがあるように感じます。検査の話を大げさに語ってしまいましたが、対象をふまえた検査が必要だということが言いたかったことです。
2006-11-18 | 投稿者 : 清宮さん
PSA開発者さん、コメントありがとうございます。

PSAスクリーニングの開発に携わられたPSA開発者さんには心から敬意を表します。

PSAスクリーニングそれ自体にはなんのリスクもないことは認識しています。

私が伝えたかったことはPSA開発者さんのコメントにある“問題なのは、その後で、バイオプシーや治療法でリスク”の部分です。PSAスクリーニング後の生存ベネフィットが明確ではない現時点では、PSA検査の対象となる人を慎重に選んだほうがよいと感じています。

説明不足で申し訳ありません。

現在PSAスクリーニングによる前立腺癌死亡抑制作用が二つの無作為化臨床試験(1)(2)で調査されています。

この試験結果によってPSAスクリーニングの生存ベネフィットが明らかになるのではないかと思います。

現時点でのPSAスクリーニングの位置づけとしてはJAMAのエディトリアル(3)が参考になるかと思います。

このエディトリアルでは、自然経過試験の結果から、推定余命が10年を超える50-70歳の比較的若い男性がPSAスクリーニングの恩恵が受けられる可能性が最も高いと示唆され、より高齢の男性ではPSA検査のベネフィットが推定される有害性を上回る可能性は低いと記載されています。


(1)de Koning HJ, Auvinen A, Berenguer Sanchez A, et al. Large-scale randomized prostate cancer screening trials: program performances in the European Randomized Screening for Prostate Cancer trial and the Prostate, Lung, Colorectal and Ovary cancer trial. Int J Cancer. 2002;97:237-244.
http://www3.interscience.wiley.com/cgi-bin/abstract/855145
\n13/ABSTRACT


(2)Gohagan JK, Prorok PC, Hayes RB, Kramer BS. Prostate, lung, colorectal and ovarian (PLCO) Cancer Screening Trial of the National Cancer Institute: history, organization, and status. Control Clin Trials. 2000;21(suppl 6):251S-272S.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=retrieve
\n&db=pubmed&list_uids=11189683&dopt=Abstract


(3)PSA Testing. JAMA. 2006;296:2371-2373.
http://jama.ama-assn.org/cgi/content/full/296/19/2371
2006-11-18 | 投稿者 : PSA開発者さん
 前立腺特異抗原を腫瘍マーカーとして開発した者として、これらのコメントに反論いたします。
 γ-Sm(γ-Seminoprotein)は1966年に精漿特異抗原(前立腺特異抗原)として日本で発見され、γ-Smを診断薬として検討した結果、前立腺癌の腫瘍マーカーとして有用であることを見出しました。そこで、13施設での臨床試験を実施し、前立腺癌のStage Aは33.3%、Stage Bは51.9%、Stage Cは79.2%、Stage Dは74.4%の検出率で、前立腺肥大症は9.9%の擬陽性を示しました。これほど高率で検出できる腫瘍マーカーは今現在も存在しません。また、前立腺癌の治療のモニタリングにも優れていることも証明されています。これらの結果を基に申請、承認され、1986年に発売しました。γ-Smは日本で生まれた初めての腫瘍マーカーで、これも日本初のモノクローナル抗体を製品化した測定キットです。
 また、後でPSAでも議論されるようになったのですが、γ-Smの開発時にはγ-Smには遊離型とAntitrypsinとの結合体が存在することも見出していました。
 ところが、γ-Smの開発と同時期(1980年前半頃)に米国RPMIで前立腺特異抗原(PA:後でPSAと呼称)が研究・発表されたので、そのPAを入手して調べたところ、PAとγ-Smは同一タンパクでした。それがγ-Smの発売後に日本で発売され、今はPSAがγ-Smを駆逐している状況です。日本の泌尿器科の医師方がホームページに”日本の医師は、アメリカにコンプレックスがあるのか、あるいは英語の論文を書くには、PSAを測っておかなければならないためか、γ-Smを測る日本の医師は少数になってきました。”と書かれており、これは的を得てると思います。
 長々とγ-SmとPSAについて記述しましたが、何が言いたいかと申しますと、前立腺特異抗原(γ-SmとPSA)の検査は前立腺癌を、他の腫瘍マーカーではない、高い検出率で発見でき、前立腺肥大症を含めた良性疾患や他の癌の擬陽性も他の腫瘍マーカーに比べて明らかに低いことから、前立腺癌の検出に非常に有用であり、何のリスクもないと言えます。独りよがりかも知れませんが、人類の財産とも思っております。ただ、問題なのは、その後で、バイオプシーや治療法でリスクがあると強調します。これまで、γ-SmとPSAでどれだけの患者が恩恵を受けたかも勘案いたしますと、”PSA検査のリスク”のコメントに対しては到底納得がいきません。
 私の信条を申しますと、”科学は人類に寄与しなければならない”です。学会で、どう聞いても、研究のための研究としか見受けられない発表があり、それがどのように人類に役立つかを考えて研究すべきであると常々考えております。γ-Smの開発で少しは人類に貢献できたなと考えている者にとって、とても許せないコメントでしたので、今回、PSA開発者としてのコメントを差し上げました。
2006-11-16 | 投稿者 : 清宮さん
PSA検査は場合によっては有害な転帰を招くおそれがあることを認識している人はどれだけいるのでしょうか?

PSA検査が広く繰り返し実施されれば、前立腺の生検(バイオプシー)の頻度が上昇し、放っておいても良いかもしれない臨床上重要ではない疾患が検出される可能性も高くなります。

Draisma等(1)は、55歳時点において、PSA検査によって臨床上有意ではない疾患を検出してしまう割合は27%という結果を報告しています。75歳になると、この割合は56%に増加します。

PSAスクリーニングを実施することで生存ベネフィットが得られるかどうかは明確には分かっていません。また、前立腺癌の治療は患者のQOLを悪化させることが報告されています。

したがって、PSAスクリーニングによって検出された臨床上重要でない前立腺癌の治療は患者に悪影響しか及ぼさない可能性があります。

患者は、前立腺癌のリスクや治療を過大評価しがちです。実際にはさほどベネフィットがなかったとしても、多くの患者はスクリーニングや治療を要請する可能性があります。

PSAスクリーニングの有効性が疑わしい現時点では、“PSA検査に過度の期待を抱かせないこと”が最も適切なPSAの啓蒙のあり方なのかもしれません。

これまでに実施された試験(2)(3)において、男性にPSAスクリーニングの教育をするとスクリーニングに対する関心が低下してPSA検査の実施数が減少することが示されています。PSA検査の現状に照らし合わせると、この試験結果はPSA検査の適切な啓蒙の転帰として妥当だと思います。(終)


(1)Lead Times and Overdetection Due to Prostate-Specific Antigen Screening: Estimates From the European Randomized Study of Screening for Prostate Cancer. Journal of the National Cancer Institute, Vol. 95, No. 12, 868-878, June 18, 2003
http://jncicancerspectrum.oxfordjournals.org/cgi/content/f
\null/jnci;95/12/868


(2)The impact of informed consent on patient interest in prostate-specific antigen screening. Arch Intern Med. 1996;156:1333-1336.
http://archinte.ama-assn.org/cgi/content/abstract/156/12/1
\n333


(3)Patient education for informed decision making about prostate cancer screening: a randomized controlled trial with 1-year follow-up. Ann Fam Med. 2003;1:22-28.
http://www.annfammed.org/cgi/content/abstract/1/1/22
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