大動脈弁が硬化した患者の心疾患リスクが高い本当の原因は弁の異常ではなく炎症反応や冠動脈疾患にある
Free!大動脈弁の硬化(aortic sclerosis)が心臓発作や死亡のリスクを高めると考えられてきました。しかし胸痛を訴えてミシガン州のWilliam Beaumont Hospitalの救急医療センターに入院した425人を対象にした1年以上の追跡調査から「aortic sclerosis自体は心臓発作や死亡の予測因子ではない。CRP高値、うっ血性心不全の既往歴、高齢などが心臓発作や死亡のリスクを高める要因である」とわかりました。
2004年1月21日のJ Am Coll Cardiol誌に発表された研究成果です。
203人(49%)は心エコーでaortic sclerosisが認められ、212人(51%)は正常でした。aortic sclerosisが認められた患者の多く(16.8%)が1年後に循環器疾患を患い、event-free survivalも低下していました。
しかし多変数解析の結果、aortic sclerosisと循環器疾患に相関はなく、CRP高値、うっ血性心不全の既往歴、高齢などが心臓発作や死亡のリスクファクターであるとわかりました。
この結果から、aortic sclerosisを有する患者で循環器疾患の発現率が高いのは、心臓弁弁膜の異常によるのではなく、冠動脈疾患または炎症反応が原因であると考えられました。
- New Study Finds Inflammation a Bad Actor / HealthDay
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